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史料学メモ

木簡の史料的特質
『岩波講座日本歴史21巻』14~15ページ

  1. 同時代の第一次史料である。考古遺物の年代観に絶対年代を与え得る。また、古代における漢字文化の受容・変遷の実像が直接反映している。

  2. 日常的史料である。正史と異なり、六位以下の下級官人たちの情報も多く、彼らの実態がわかる。平城宮での毎日の食事の実態が伺える。

  3. 地方的史料でもある。人や物の動き、地方の地名・人名・産物の実態を物語る。

  4. 発掘調査により出土した考古学的遺物である。出土状況が重要な知見となる。

編纂物
・『続日本紀』では編纂方針により人名は五位以上の貴族のみ。些末なことは記載しない。
・正史、律令、貴族の文学史料は、天皇・貴族中心、宮都・畿内中心
情報量は多く、多方面にわたる記録がまとまっており時代を俯瞰できる。他方、史料批判が必要。背景の政治・社会を理解する。編纂を命じた為政者の利害・関心を知ること。(p45)
・10世紀以降は氏族秩序が崩れるとともに、政府の職掌が家に固定される方向に進む。日記・文書が家に保存されるようになり、国史は撰進されなくなる。貴族官人が、全体で記憶を共有する必要がなくなった。11世紀以降も、日本開闢神話という書紀の役割は残った。この神話は「中世日本紀」として肥大化しながら、日本国としての自意識の発展に影響を与え続けていく。(p63) 原克昭『中世日本紀論考』法藏館、2012年

中国の書物の受容について
太田昌二郎著作集、吉川弘文館

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