見出し画像

ぜんぶ、青春だった。


 二〇二二年四月九日 ──

 真っ青な春空が広がる晴天の日。

 入場時間は初回十時〜の回。会場には多くの黒バスファンが駆けつけており、イベント前特有の高揚感で埋め尽くされていた。

 会場に入った瞬間、黒子さんの音声が流れており黄色い声援が上がった。鳥肌が立ち、思わず泣きそうになってしまったのがまだエントランスでの出来事だ。

 想像以上の数の原画が飾られていた。一枚一枚があまりに美しく惚れ惚れするようなものばかり。どうしたらこんなに綺麗に描けるのだろうか。本当に同じ人間なのか?…その一筆はあまりに滑らかで完璧で、「プロの世界」が詰まっていた。

 原画を見ながら、そのシーンのアニメを頭の中で流した。近くから見つめてみると細かい線や顔・身体・衣服のパーツがよくわかった。今度は遠くから眺めてみた。個人的には遠くから眺めるのがとても良いと思った。まるでそこで画が動いているような気がした。色は無いのに見える気がした。物語を感じたのだ。

 原画には細かい指示が記載されており、例えば「眉毛が前髪に透けるか否か」。黄瀬は「眉毛が透ける」の指示が多く(眉毛が透けないシーンもあった)、この違いが拘りなのだろうと実感した。たくさんの指示が書かれていたため、記憶に残っているものを箇条書きにしておきたい。

・眉毛が透ける

・眉毛透けない(火神大我など)

・火神くん ◯◯くん 黒子(黒子だけ呼び捨て)

・駒沢体育館/東京体育館

・涙

・飛び散る汗

・汁(屋上で寝る青峰の口から)

・髪の毛影入れて大丈夫です

・お好み焼きのマヨネーズやソースの指示

・火神視点で上目遣い(黒子の絵)

・伊月の腕(黒子と、黒子の肩に回している腕だけが見えるシーン。見えなくても拘りや設定がありその大切さを思い知らされた)

 興奮していたこともあり、記憶力がかなり落ちている。たった一、二秒のシーンで何枚も何十枚も。わかってはいたものの、改めてアニメを作るには莫大な労力と時間がかかっているのだと理解した。ありがたく思わなければならないのだと強く感じた。

 一期から順に展開されていく展示会。途中でフォトスポットもあり、まずは誠凛高校の部室(火神大我のロッカーやベンチの上のボードゲーム、スコアブック など)。また別のコーナーにはチャリアカーが置いてあった。

画像9
画像8

 それからひたすらオープニングやエンディングが流れるテレビも設置されていた。最初から最後までずっと鳥肌が止まらなかったにも関わらず、後半にあったエンディングが流れるテレビの前で突っ立ってそれを見てしまった時は危なかった。Lantanaで泣きそうになり、でも一人で泣いているのはめちゃくちゃ恥ずかしいから死ぬほど堪えて、桜舞う火黒であ、火黒付き合ってるってなった(1365回目)。どこからかは「恋に落ちたよねコレ!?」という笑い声が聞こえてきた。そう思う。と心の中で返した。

 コーナーごとに黒子さんと火神大我が会話をしている会場ボイスが流れている。もちろん最初から最後までしっかりと聴いて回った。久しぶりに新規ボイスを聴けて嬉しかった。やっぱり火神大我の声は逞しくかっこよくワイルドで、黒子さんの声は優しく穏やかで可愛い。しみじみとしてしまった。

 個人的に好きだった原画を箇条書きで残したい。

・黄瀬の涙→第一期誠凛高校対海常高校練習試合。あまりに綺麗な涙で大好きなシーン。原画でもあそこまで美しく涙を表現できるなんて、あまりに凄すぎる。

・叫ぶ火神大我の顔面アップ→最終試合、誠凛高校対洛山高校の公式試合。あまりにかっこよく全世界が惚れてまうのでは無いかと思う。迫力がすごく、顔立ちの精悍さが見てとれた。火神大我の顔面アップ原画はかなり多く飾られていた印象。やはり彼の眉毛は太く凛々しいなと再確認した。

・氷室辰也のA4よりも大きく縦長の用紙に書かれたシュートシーン→誠凛高校対陽泉高校。はかなく美しく、だけどどこか想像できないような気迫に満ち溢れたような、危ういような姿。一枚の絵から様々な感情を受信した。

・温泉シーン黒子さん→エロシーン。かわいい。

・ラストゲーム空港シーン→こんなことを言ったらバチが当たるかもしれないけれど、コツン向かいあった絵も見たかったなと…いや、贅沢を言うな。あんなに素晴らしい絵を見せてもらって何を言ってる埋めんぞ。

 壁にもシーンの絵が描かれていたりと、壁すら見逃せない空間だ。とにかく目を凝らして、気合いで見て感じるしか無い。

 あまりに情報量が多く、まともに頭に入れ込んで回るとなると三時間でも足りないだろう。人も多く並びながら見てゆくため、時間に余裕が必要だと感じた。おすすめは後半のコーナーから見ていくという方法だ。前半ほど混雑している傾向があるので、会場でも「等身大アクリルパネルコーナーが比較的空いています。今のうちに撮っておくのも良いですよ〜戻ってこれまーす」みたいなアナウンスをしてくれている。等身大アクリルパネルコーナーは最大のフォトスポットでもあるため、効率よく回りたい方はここから攻めるのもおすすめだ。

 アクリルパネルコーナーを抜けると、あの「ひよこのバスケ」コーナーがある。

 まるで美術館かなにかと思った(?)壁に並び詰められたひよこの壁や吊るされた丸ひよこなど。

画像1
画像2

ぎゅうぎゅうに押し潰される黄瀬ひよこの可愛さを残しておきたい。

画像10
画像3
画像4
画像5

 火神ひよこもだいぶ狭そうにしていた。

 下の写真は吊るされる丸ひよこだ。ひよこのコーナーはどんな感じか想像していたけれど、そんな想像の斜め上からズドンと超えてくるような素晴らしい展示物だった。

画像6

 ひよこのバスケコーナーの最後には「ひよこのバスケアニメーション」がひたすら流れているテレビも置いてある。真剣なシーンが全てひよこに置き換えられており思わず笑ってしまうような可愛いさだ。ずっとぴよぴよ言っている。

 その真後ろには我々が興奮した色紙特典の大きなパネル画が飾られていた。目に焼き付けて帰っていただきたい。

 ゲートを抜けると物販コーナーがある。こんな感じで購入させていただいた。なお、缶バッジと桜火黒はPARCOの黒バスオフィシャルストアのものだ。

画像7

 

 黒子のバスケという作品に出会え、好きになり、これまで漫画を買い、グッズを買い、アニメをひたすら繰り返して見た。そして人生で初めてサークルとして小さくながらも活動をした。

 めいいっぱい全力で、自分のできる限りで作品を愛してきた。

 あまりに特別な作品で尊くて、大好きで、たまに距離感が分からなくなったり、好きすぎるあまりに色々な感情を抱いてしまうことがある。

 今回原画展に赴くことができて、自分の心は好きで溢れた。涙が出るくらいに心が震えて、こんなに好きな作品に出会えて良かったと、やっぱり最高だと実感することができた。これからも後を追いたいと思い、今までをもう一度見たいと思った。

 自分が抱く作品への感情を見つめ直す契機となった。「大好きだ」、それだけだった。

 機会があるならば、もし行けるならば、本当に是非行って欲しい。また新たな「黒子のバスケ」の素晴らしさを発見できるかもしれない。

 原画展会場で聞こえてきた言葉がある。「これで明日からも生きれる」。冗談のようで、本心。推しは、推しジャンルは、いつもいつまでも自分の背中を押してくれるものだ。

 帰り道、池袋の町を歩きながら思う。

また、明日から仕事頑張るぞ〜!!!!

 推しはまた、今日も輝いている。






おわり

 



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?