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進撃の巨人布教用

アニメ進撃の巨人ファイナルシーズンが始まったのでまだ進撃の巨人を知らないという方に向けて世界観とあらすじを説明させて頂きます。

進撃の巨人 Attack on Titan

作者:諫山創
出版社:講談社
掲載誌:別冊少年マガジン
巻数:32巻(2020年現在)

〜世界観〜

100年以上前、人類はある天敵の存在によって絶滅の危機に陥った。人間を捕食する以外に習性の見られない【巨人】という生命体に知性は無く、意思を通わせる手段も無い。不死身を思わせる程の再生力とその個体数はたちまちに人類を追い詰めた。


人類は辛うじて巨人をも凌駕する程の大きな壁を築きあげることにより巨人の進行を阻止し、100年の安寧を作り上げた。逃げ遅れたその他の人類は全て巨人に食いつくされたが壁の中では巨人の驚異に曝されることもなく安全に過ごすことが出来る。残された人類の誰しもがそう信じ込み、当たり前のように平和を享受していた

幼少期からそう教わって生きてきた主人公【エレン・イェーガー】はまるで外の世界への自由を犠牲にしたような平和理念に疑問を抱き続けていた。彼自身が外の世界への興味を抑えられないだけでなく、壁の中で生涯を終えるだけの人生を家畜と揶揄し、嫌気がさしていたのも原因である。

いつか壁の外の世界へ足を踏み入れることこそが彼の夢であり、友人であるアルミン・アルレルトとは意見が合うためそれらを語り合うことが日常となっていた。

壁の仕組み

巨人の進行を阻止するための壁は3重になっており、最も安全だと言われている中心部には王政府や貴族のみが暮らせるなど、居住権利は厳しくなっている。

主人公のエレンが暮らしているのは壁の最南端に位置するシガンシナ区であり、巨人は南からやって来るとされている通説に基づけば最も危険な場所であった。

3つの兵団

この世界では12歳を迎えると訓練兵を志願することができる。普通の職業よりも待遇は良いが辛く厳しい、死に至ることもあるとされる訓練に3年間耐える必要がある。
訓練兵団卒業後には以下の3つの兵団から配属先を選ぶことが出来る。

《駐屯兵団》
壁の強化に務め各街を守ることが目的。その街で何かがあった際には率先して民衆を守る義務がある

《憲兵団》
王の元で民を統制し秩序を守ることが目的。その性質上安全な内地での勤務となることから志願者が多い。訓練兵の成績上位10名のみが入団可能となる

《調査兵団》
犠牲を覚悟して壁外の巨人領域に踏み込み調査をする。入団者の殆どが数年以内に命を落とすことから志願者が少なく、組織は慢性的な人員不足にある

〜あらすじ〜

壁の外への探究心から齢10にして調査兵団を英雄と崇め、入団に憧れを抱くエレンに対し、壁の中にさえいれば安全と考える周囲の人間らは反対の声を上げる。


しかし、壁の中が必ずしも安全とは限らないと唱え続けるアルミンや、壁外への憧れを打ち消すことができないエレンは周囲への反対に反抗の意を示し続ける。そんな最中、大きな爆発音と共に100年以上続いた平和が突如終わりを告げた。


本来巨人とは個体によって差はあるが3〜15m程の体長とされており、50mにも及ぶ壁を乗り越えることなど不可能とされ、それが平和の裏付けにもなっていた。しかし50mの壁を優に越す【超大型巨人】の出現により、エレンの暮らしていたシガンシナ区の壁は破壊され、大穴を空けられてしまう。


失われた安寧はあまりにも唐突であり、100年もの月日を掛けて巨人への恐怖を忘れていた世界は一瞬にして地獄へと早変わりしたのだった……(原作1話がここまで)

〜私なりの好きポイント〜

この漫画の面白い部分は縦軸と横軸の底知れなさにあると思う。現実世界とは全く異なる世界観は異質であり、馴染みのない用語ばかりが使われて物語が進んでいくのにも関わらずそこに違和感は全く無く、簡潔に済まされた説明だけでストンと世界観に没頭することが出来る。それは作中のキャラクター達の会話や矛盾点の無いストーリー軸が驚く程精錬されているからこそ、読者に不自然さを一切与えることなくまるで実話のようなリアリティさを生み出すことに成功しているのだと思う。

作者自身が『読者に媚びることは読者を裏切ることに等しい』という考えの元に作品を手がけているためにストーリー展開に容赦が無い。購読の際はこのキャラは人気だから死なないだろう、このキャラは人気だから劇的で感動的に死ぬだろう、という考えを一切捨てた方が良い。飽くまでも読者に配慮してあるのは読みやすさだけであり、それ以外にご都合主義は無い。だからこそ読めない展開や衝撃の展開にまるで創作物であることを失念してしまう程熱中してしまうのだろう。

容赦の無い展開、衝撃の展開とはいったがこの作品の恐ろしいところはそこに後付け感が全く無いという点でもある。突然の急展開というわけではなく、前もって準備されていた衝撃の事実は初見にとっては目を疑うような内容であり、しかし読み返せば予想不能というわけでも無いぐらいに絶妙な伏線は回収された時に後味の悪さや陰湿さを全く感じさせない。誰しもが納得してしまうストーリー展開は読み返せば読み返す程深みを増していく。
私はこの先、1話の伏線を10年間読者にバレることなく隠し切り、そしてそれを誇示せず自然に回収していく漫画には一生出会えないだろうと断言できる。

そして私がこの漫画で1番考えさせられた項目の1つに死生観がある。ディープな内容故に作中で命を落としてしまうキャラクターも少なくない。私のお気に入りキャラもその1人である。しかし最新巻全てを踏まえて、もしもキャラを甦らせることができる、または原作を改変して死を無かったことに出来る権利を得たとして、私は誰1人として救うことはしないと言い切れる。それ程に作中での「死」は意味のあるものであり、また、作中での「生」は肯定し切れないものとなっている。

物語がダークファンタジーということもあり、シリアスな雰囲気のままストーリーは続いていくが、時折思わず笑ってしまうようなギャグ描写も多く存在する。そして作者も予告や擬音で遊んでいる。それらが世界観や緊張感を全く濁すことなく成立しているところがまた恐ろしい。

ふぁみちきってなんやねん。

〜最後に〜

進撃の巨人は(私の中で)世界一面白い作品であり、一コマですら添削できない程に無駄のない精錬された漫画です。ただ奇を衒っただけのパニック漫画では無く、その内に少年漫画たる所以の熱いバトル漫画であることを痛感させられます。特殊なジャンル故に肌に合わないという方も勿論いるとは思いますがこのあらすじを読んで少しでも気になってくださったら。
もう既に国民的漫画であり知らない人の方が少ないとは思いますがまだ読んだことが無いという方がいましたら、是非読んでみてください。

また、私は世界観を文字に起こすに当たって1つ大きな嘘を書きました。物語がひっくり返るに値する大きな嘘です。しかしそれは捏造ではなく、原作に忠実な嘘です。読者の方ならすぐに分かると思いますが、どこの箇所かは彼らの記憶が教えてくれることでしょう