2222年問題

【2222年問題とは】

 そうそう巡ってくるものではないゾロ目の西暦。次にやってくるのは西暦2222年ということになるが、今生きている全人類がこの一大アニバーサリーイヤーを経験することなく死んでゆく問題である。

 2221年から2222年への年越しはさぞ盛り上がるだろう。千年に一度の高揚感は人々に”力”を”与え”(読み:”パワー”を”エンチャント”)街の至る所で軽トラックが無闇に横転させられる。数人がかりで1台の軽トラックを横転させるなどという生半可なものではない。そんなんだったらアレと同じだ。渋谷の。アレと。2222年への年越しはそんなんと全然違う。千年に一度だから。エンチャントされるパワーが。1人1台。1人1台だもう。1人1台軽トラを横転させて下さい。それがノルマだよ。”もはや”な。

 [2222]を象ったメガネも飛ぶように売れる。多分全人類が1人3個ぐらいずつ買うと思う。2222メガネ持ってないやつマジで0人。”マジで”な。2221年初頭からもう売れ始める。2221年6月頃にはもう全人類が1個ずつ持ってる状態になる。でもそっからまた売れっから。で、最終(全人類の数)×3売れる。誇張抜きで。

 2221年の時点でそんな調子だから当然2221年の今年の漢字は”2222”になる。(注:2221年の流行語大賞はモチロン"2222年"だヨ!)

「今年の漢字って数字もアリなんだ」

 誰もがそう思う。2222。漢数字ですらない。

22
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↑あのでっけー紙にこういう感じで書かれる。縦書きで2222も変だし横書きでも収まんないからね。で、あのでっけー紙に書かれた全ての”2”から毎年のごとく墨汁がタレる。とくに”2”の書き始めと書き終わりのとこからすごいタレてさ。下段の"2"はもうグッチャグチャなんだけど”読める”。2221年は皆、2222年のことしか考えてないからね。全員の心の片隅に常に"2222"って書いてあるみたいな状態だから。全員が。この惑星(ほし)の。

 2222年はヤバい。2222年2月22日22時22分22秒はさらにヤバい。この惑星(ほし)の”全員”が”その瞬間”を体験する為に”全て”を放り出すから。”その瞬間”の前後1時間そこらなんつったらもうさ、機能しなくなるから。一時的に。社会が。いや、社会が、というようりはこう表現する方が適切だろう。”世界が”───(そしてその熱狂に包まれる)

 この規格外の2222年を経験することなく死んでゆくのが私達の世代だ。私達は経験できない。その熱狂を。その瞬間を。これが2222年問題だ。私達にできることはもはや何一つないのかもしれない。しかし───2222年を生きるキミには───その時を精一杯楽しんで───生きてほしい──────

 


 ──────────────────”2222年への手記”【完】

小遣いとして使う