『VIVANT』感想

NETFLIXで観れた。ので観た。
堺雅人が架空の国バルカ(モンゴルと中央アジア一部地域をモデルにしているっぽい)と日本を股にかけるインテリジェンスサスペンスドラマ的なやつ。
以下、基本的にネタバレがないようにはしているはず。

超大手企業の海外事業担当である乃木(堺雅人)が、取引先へ本来の10倍の額面を誤送金する騒動に巻き込まれ、回収に行こうと現地へ向かうと、取引先からさらにテロ組織に金が流れているっぽいし、現地の警察は乃木をめちゃくちゃ怪しんできて普通に小銃発砲してくるし、どうなってしまうの……
というところから更に何度も状況が変わっていく。
もう昔になってしまったけれどドラマ「24」と半沢直樹が組み合わさったような構成となっている。
そういうわけで、日本国内のシーンでは半沢直樹っぽい企業サスペンス、モンゴルロケのシーンでは雄大な草原や荒野を馬やラクダで走ったり、カーアクションしたり、爆発も起きてそれなりにメリハリもある。
後から検索で出てきた記事とかを読んでみると、撮影に各話1億くらいの予算を使っているらしくて、かなり気合を感じるし、通して観ると、「24」っぽい観心地になる瞬間がしばしばあり、ある程度その目論見は成功しているのではないだろうか。
途中で乃木を助ける日本の公安警察として阿部寛も出演してきて、半沢直樹と下町ロケットの成功体験を全力で使い倒してやるという放送元のTBSの強い気持ちを感じる。

各話タイトルも『裏切りと別れ…明かされるヴィヴァンの意味』(2話タイトル)とかで、もう半沢直樹の各話タイトルでやってる『まさか頭取が…!? 極悪政治家の不正を暴け!』のノリと完全に同じで、正直これ、観てる人間を馬鹿にしてるとしか思えないから嫌いなんだけれど(飼ってるインコから一度咀嚼した餌をもらってるのとおんなじ気分になる)、たまに観ると風物詩としてそれなりに口角が上がってしまう。

ただ、ここであえて比較してしまうと、かつてのドラマ「24」では、放送元のFOX放送の『家族、国家って大切だよね』という価値観がゆるぎなくあり、(その価値観が実際どこまで受容可能かは別として)価値観の体現者たる主人公ジャック・バウアーの行動軸が全くブレないのが心地良くさえあった。
現実的な倫理として、国家や家族を守るためならテロ容疑者へバシバシ拷問も自白剤をブチこんでいくし相手の足を1、2発撃つくらいなら平然とやるカウンターテロ捜査官というのはかなり怖い存在だけれど、シーズン1を観終わると、「ああ、バウワーってそういうヤツなんだな」って認識がインストール完了するので、ドラマの中というカッコ付きで観られるようになる。
一方でVIVANTの主人公乃木の行動原理は少しインストールが難しいところがあって、そこまでしてこの仕事する?みたいな疑問が晴れないまま視聴完了となった。

あと、モンゴルにかなり撮影協力をもらってる関係だろう、その辺で色々な忖度が垣間見えたのが大人ってやだな~~~~ってなったりもした。
そういうところを見つけようとしてる自分もやだな~~~~~ってなった。


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