見出し画像

2024.1.26「閏」

うるうアドベントカレンダー13日目。
今日は2024年1月26日。
4年前の今日は、うるう北九州公演2日目です。

……そう。うるう年の、うるう日、みたいなもんだな。

ヨイチがトランプのたとえを教えようとすると、マジルが先んじてそれに答えます。二人は偶然にも同じ2月29日、閏日生まれでした。


作品名と区別するため、タイトルをあえて漢字の「閏」としました。
「閏」は当然、うるう日、うるう年という暦上の仕組みを指して用いられますが、今回は「閏(うるう)」という言葉そのものについて取り上げたいと思います。

閏、という漢字について、新撰漢和辞典には以下のように記載されています。

①〈うるう(うるふ)〉あまりの月日。平年より暦日数・暦月数の多いこと。太陽暦では四年に一度、一年を三六六日とし、太陰暦では、一年を三五四日あるいは三五五日とするため、あまった時間を三年おきに一年を十三月として、暦の調整をはかる。
②あまり。余分。
③正統でない天子の位。

新撰漢和辞典「閏」より引用

①については、作品内で紹介されているとおり、私たちのよく知る意味です。
②を見ると、「閏」という漢字そのものが「あまり」という意味合いを持っていることがわかります。

また③からは、閏という言葉が「正統ではない」という意味を持っていることもわかります。
「閏位(じゅんい)」という言葉があります。これは正統ではない王位と言う意味を持っています。
また、「正閏論」という言葉もあります。これは王位の正統性に関する議論という意味を持つ言葉で、この意味において閏は「異端」という意味で使われています。
平年に対する閏年、という立場からこの意味に繋がっているようです。

どの使い方においても、やはり「閏」は本来存在しない、正しい流れから外れた存在という意味合いを持っています。

また語源について、日本国語大辞典には以下のように記載されています。

・「閏」字は、王が門の中に居ることを表わす(中国では、王は通常宗廟内に居るが、閏月には門内に居る)。「潤」字を「閏」字と通じて用いたことにより、「閏」字に「うるう」の訓が生じたものと考えられる。
・「潤」を文字読みしたウルヒから生じたものか。余る義〔東雅・古今要覧稿・和訓栞・大言海〕。

日本国語大辞典「うるう」より引用

「王が門の中に居ることを表わす」という「閏」の漢字の語源は『THE SPOT』を彷彿とさせます。

また「潤」の読みが「閏」の読みへと転じたという説においては、「潤う」の中に水が溢れていく、いっぱいになるというイメージがあり、そこから「あまる」という意味合いを持つ「閏」になっていったように思われます。

leap day

閏日を英語に訳すと"leap day"、"intercaraly day"になります。

intercaralyという単語には「既存の二つの要素の間に差し込まれた存在」という意味合いがあります。
2/28と3/1の間に差し込まれた、というイメージにつながります。

一方"leap day"という言葉には、閏年によって曜日が飛ばされるという意味合いがあります。
閏日が差し込まれることによって曜日がずれ、3月以降の祝日の曜日が一日跳ぶ、というイメージからleap=跳ねる、という単語が用いられているようです。

この跳ねる、跳ぶというイメージを持つleap day、leap yearという言葉は、跳んだ出たウサギのイメージにも重なります。
Googleのトップ画面に表示されるアニメーション「Doodle」は、記念日や誕生日にちなんだものが多く作られています。
2月29日にも、閏日にちなんだDoodleがいくつか生み出されています。

2016年2月29日のDoodleは、まさに「そこへウサギが跳んで出て」かのようなアニメーションでした。2016年の再演当時、驚きと興奮をもってこのDoodleを何回も再生したのを覚えています。

サイトに飛ぶと、ウサギ以外を用いたDoodleの候補をいくつか見ることができます。
カエルのアニメも、"leap"の跳ねるイメージから生まれたものでしょう。日めくりカレンダーのアニメも、非常に『うるう』と共鳴しています。

【うるう日記】2020.1.26 北九州公演2日目

北九州では博多のあるお店を訪れました。

『閏日』というお店。

名前が気になって訪れたのですが、あまりにも『うるう』と世界を共有しているかのような雰囲気のお店で、驚きました。

木の葉まである

お店の人にお話を聞くと、4年前(2016年)にお蕎麦屋からこのお店に変えて、うるう日に開店させようと思っていたが間に合わず、でも「閏日」という名前が良いという話になり、この店名にされたそう。
夜にはお店の名前が「閏月」に変わり、「うるうコンサート」も開催されているとのことでした(4年前の情報です)。

前述した門の中に王様がいるという「閏」の漢字の成り立ちにまで話題が及び、思わず『うるう』についてもお話ししてしまいました。

お店のインスタグラムです。「ローバの休日」は、閏日に併設されたテイクアウトのスコーン屋さんだそう。また行きたい。


博多ではこんな展示もありました。

鉱物になった木

以下、北九州公演2日目の感想。

徳澤さんの目の前の上手。チェロの音がスピーカーだけでなく直に聞こえて二重になる瞬間があった。
とにかく徳澤さんをしっかりと見られた。演奏の時の動きが型に入っていて美しかった。
ヨイチの表情が広島の下手では見えなかったものだった。マジルの位置から見られた。
ヨイチはずっとマジルに向かって話していて、それがすごく好きだった。そして徳澤さんはずっとヨイチを見ている。
いつもひとつ足りないの間、チェロの寄り添いに涙していた。弾く姿を見るとより…
秘密の畑の間も、彼がその日々を思い出しながら紡いでいるようだった。
徳澤さんの前で見ていると、カノンを演奏する間もマジルと共にヨイチが来るのを待っているような感覚だった。
後ろにすわっているお子さんが「学べ!」や影絵で笑っていてよかったな…

・客入れ 木々のサーー、という音と、鳥の鳴き声、あと虫の声も席によっては聴こえた。虫の声は一定時間持続していて、途中止んで、また鳴り始める。

・わなの後「でもこの、組体操的な表現力はあるのでは…」

・1つ足りたハコ、「ジャンプ!」と言ったら跳ねて回るようになった。手を叩くと消える。消える瞬間、あっ、という声が後ろで聞こえた。

・フリップの時「ヨイチさんが繁華街に行って居酒屋で数えた...」と言うようになっていた。

・クネクネしつつ「コヨミさんかーわいい…」と言ってそのまま弓を受け取る。「すみません、じゃあせーのでね、せーの、」

・「やっぱりあまりの1なんだ」の悲壮感、屈折との対比。

・楽譜、最初はそんなに丁寧にもっていない。片手で持っていたものが、マジルの話を聞いて贈り物に変化したように見える。

・「マジル」と秘密の畑で謝るシーン、段から降りて謝る。マジルは上にいたまま。

・夜「誰だ?」に対してグランダールボ、「グランダールボ」と返事している。

・回想後、右上の子の髪を触る→慌てて位置に戻る

・私の体はね、年を取るのに…の時、顔を手で触っていた。

・「江戸 明治 大正 昭和」の部分、時代の移り変わりは…まで動かず、前を見据えてハッキリ言う

・「友達は、つくらない」自分に言い聞かせるような納得するような言い方

・2回目に戻ってきて後ろを向き、泣いて、後ろ向きのままオバケのポーズをとる

・待ちぼうけ、ころり転げた の声の震え

・アルブースト「オリンピック」

・待ちぼうけの楽譜を見て、「ああ…」と言い、忘れるようにすぐに挟んでしまう。

・まちぼうけはやはりはっきりと力強く美しく前を見据えて歌っている。音の方を探し、木々の間を歩いて進む。この位置で見ると待ってしまう。マジルと同じ場所で、ヨイチが来るのを待っている感覚。

・音が消え、暗闇の中をヨイチが息を切らせて探す。高いところに上がってマジルを見つけると、マジルが後奏を奏でる。

・後奏がこだまのように響き、鐘・ハープが魔法のようになる 属7と共にマジルが立ちあがる 木漏れ日が射す。一度の音と共に2人が向かい合ったまま幕が下りる。

・カーテンコール「みんないい顔してるなあ」


次の更新は仙台公演の4年後、2月1日です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?