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中古で機械式の腕時計を買って得たものと失ったもの

時計を買った。

初めての機械式、自動巻き。USED美品で税込60,000円ちょい。

流れの説明。というか備忘録(消すかも)

時計買うぞー!→機械式だー!→シンプルで黒文字盤の日本製がいい!→グランドセイコーって名前なら知ってる!→友人に相談だ!→資産って知ってる?→ロレックスのミルガウスがサイズ感もいいね!→基本に戻る(日本製がいい!)→1万円くらいで買える機械式だとSEIKO 5 SPORTSってのがあるらしい→ピンタレストでボードを作って画像を集めまくり欲求を高める→ヤフオクでSEIKO 5 SPORTSの日本製見つけた!即決で落札!→J1じゃなくてK1(日本製じゃなかった)だった…そして先方キャンセル!→もやもや……→5のつく日(Yahooショッピング)→あれっプレージュ(プレサージュって読んでた)シンプルだしサイズも大きめでめっちゃいいやん→6万円か……オイスターパーペチュアル39よりでかいし安い!→動いてるとこみてみたい!YouTube!→これでいい!→ポチ→届いた!→サイズ合わせに奔走→一段落してふと思う事があった←今ココ。

細かいいきさつと自己紹介(という名の自分語り)

文章に残すにはとても微妙なうまく話せない事情で2年立て続けに引っ越しをしてしまったのだけれど、ようやく生活に落ち着きを取り戻してここ最近の休日は上野アメ横でスカジャンを眺めたり、新宿まで出向いて沖縄そばを噛んでみたり、普通のおじさんな暮らしを始められるようになった。

10年以上振りに行ったけれどもやんばるはフーチバーのトッピングが無くなったのかな? なぜか現場写真を撮っていたのでテストがてら貼り付けてみる。

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10年程前にはこの付近で仕事をしていて、当時購入したMTM社製 Special OPS ブラックホークも新宿のシーザムでお買い上げだった。12万くらいだったかなー。それをまぁ未だに腕に巻いてうろつく日々を過ごしていた。この腕時計は今で言うみんなが大好きなQiのような非接触充電が出来るものでとても便利だった。かなり明るいLEDが埋め込まれているので小さなライト替わりにもなり重宝してきた。

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でも来るんだよね、充電池のへたり。充電してからの稼働時間が10年程でやっぱり目減りしてきた。残バッテリーが少なくなると秒針が2秒に1度動くモードになって、もうあかんで~という頃には4秒に1度動くようになるのだが、秒針のモードチェンジに気づく前に時計が止まってしまうと言う事が起こり始めた。そうなると使う頻度が落ちるのはとっても明白。

オーバーホールか電池交換の問い合わせを2014年にしたメールが残っていたが、「2次電池の寿命は10年。充電池交換=ムーブメントも交換なのでx万円。保証書が紛失ならわかる範囲で購入店などのメモを添付」と言われていて、ブラックホークを直す事にはちょっとハードルが高かった。

ミリタリーテイストな道具が好きで東京砂漠も言うてみたらジャングルだよなーとか嘯きながら田舎と東京を行ったり来たり、わりと疲れる30代を終えて、生活に少し余裕がでてきた40代半ばの僕がそろそろ普通に見た目だけでも落ち着こう……となり、年相応ぽい落ち着いた時計を買うべきかなぁと考える日が来たのは自然な流れだと思う。

一定数の人には「そういう時代あるあるw」で笑ってもらえると思うけれど、理解出来ない人もそこそこ居るのだろうな。とか言う僕もMTMが不調になってしまって以降「カメラと時計はスマホで充分」派だったのに、年頃の腕時計をネットで眺め始めてみるとどハマりしてしまった。

なんかシンプルなのに色気が半端ないんだよな、海外の人の腕時計写真。日本ではありえないような青い空が映り込んでいたり、一日仕事を終えた後疲れたーって思いながら腕時計を眺めてにやつく大切な瞬間が映り込んでいるような気がしたり。

値段を調べる為にヤフオクへ。

そこまで腕時計に(限らず様々な物事にも)詳しくない僕がまず調べたのはグランドセイコー。「40代 腕時計」なんて調べると高級な腕時計達が不敵な笑みを浮かべつつこちらを値踏みする。1度やってみるとわかる。高級腕時計な記事がわんさか出てきて「ん?買うの?」と微笑む。

そんな中で「高級」とか「高価」の考え方を勉強させてもらった記事がこちら。AppleWatchは高価だという認識に至った。

2ページ目がちょっと大事なのでいきなり2ページ目を貼ってしまったが、資産としての腕時計という考え方がこの世には存在するようだ。そして数少ない友人の一人がたまたまそういう子だったので、初っ端からたくさん相談にのってもらうことになる。今回グランドセイコーを選ばなかったのは予算+この部分の考え方に起因している(貯えや賞与をポンと30万円の時計に充てられる程の余裕はまだない中途からの正社員7年目。そこまで強い欲はないが、5年後くらいにはそういうのもわりと手が届くようになってるといいかなとは思う)。

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グランドセイコーの中古相場には幅があって、見た目と機能でフィルタしてみたがやはりちょっと背伸びしてる感じの値段にだった。

GMT不要、スプリングドライブはあるといいな、黒い文字盤で、アラビア数字がない方がいい、日付は必要かなぁ? 曜日はまぁいらないな、できれば文字盤はMTMのブラックホークより大きい方がいいな、から選んだものがSBGA027、SBGA301付近。後ろ三桁の数字の部分はいろいろあるみたいで、多すぎて選べなかった中、落札相場も15~30万円となんとなく感覚を掴む。

ミルガウスって知ってる?

GSいいなーと先の友人にLINEすると、資産価値としてのロレックスを説かれる。今僕が就いている仕事内容が少し特殊で、ちょっと変な電波を測る仕事なのも踏まえて教えてくれたロレックスのミルガウス。初耳だった。そもそもロレックスには興味がなかったせいだが、イメージ検索をして転びそうになった。

イナズマデザインの秒針いとおかし。一気に心がミルガウスへ傾く。資産価値というロレックスと、対磁性能というちょっと変わった存在感(よくよく調べると対磁はJIS規格にもあって購入したものはJIS1種、5cm離す必要がある)、緑色に見える風防(という言葉も最近知った)、ケースもオイスターパーペチュアル39よりは大きい。もしかしたらこれはすごい出会いかもしれないとわくわくした。

値段を調べる。今回はヤフオクだけではなくて並行店、正規店も眺めたが、ざっとみて80万円前後。月2万円の48回ローンも年齢と体調を考えると「果たしてローンが終わる頃まで仕事を続けているのか?」とか「生き続けているのか?」とか「そもそもショッピングローンに通るのか?」と弱気になる。友人は「通らなかったらその後別の時計考えてみたらええんや」と背中を押す。

ふと持病のクローン病が疼く。お腹痛い。16の頃から付き合ってきた特定疾患もそろそろ30年の付き合いか。「お前にはまだ早い」と腸が教えてくれたかのように冷静になる。ロレックス、ミルガウス、僕にはまだ早い。

基本に戻ろう。国産機械式腕時計を探そう。

国産だとセイコー、オリエント(後から知ったがオリエントは既にセイコーだった)、シチズン、エプソンくらいしか思いつかなかった。どのブランドもデザインがちょっと若い印象。

エプソン。家にいる時はFMラジオを流しているのだが、J-WAVEでエプソンの自虐的な時計のCMをよく耳にしていたので割と早めにエプソンを思い出した。非アクティブな生活とまでは言わないけれど、落ち着いた僕になりたくて、落ち着いた外観の地味でシンプルな腕時計を探している時に、トゥルームはちょっと奇抜な外観だったというかクロノグラフがパスだった。理由も書きながら思い出した。老眼だ。でも買うならLコレクションだと思う。色味が好き。

結果として色々なレビューやカスタム記事が目に付くSEIKO 5 SPORTSがコスパ最高らしく、ヤフオクで眺める事にした。1万円超えた付近から買える。入門機としてはこのくらいがいいだろうって思いこんだ

SEIKO 5 SPORTS、守備範囲が広いなぁ

種類が多すぎてこれは選べない。目がおかしくなった。

落ち着きというキーワードから省くべきはダイバーズ的な、例えば色の派手な文字盤とかベゼル、太くて装飾が多いベゼルはパス。老眼的なキーワードと好みの観点からぱっと見でごちゃごちゃしていない文字盤がいいってことでたどり着いたのがSNKL45の日本製、SNKL45J1だった。

同時期にPROSPEX(プロスペックス)やPRESAGE(プレージュ)のレビューも散々眺めた。現行品の彼らは今回の買い物欲を満たしてくれなさそうな派手さが強く、さらっと流してしまった。値段的にも食指が動かなかった。

そしてオークションへ。細かくは省くがSNKL45K1しか在庫がなかったとの連絡が入り、先方持ちで取引中止となった。SNKL45K1だと8000円くらいで買えるので12000円弱出すのは悪意を含んでる事故だろうし、日本製を探してた訳で。連絡も遅かったのはそのせいかな? と勘ぐってしまう。そして「ない」と言っていた日本製でまた同じ方が出品しているのを見ると、ね。

金曜の昼に落札してわくわくした土日を過ごしたものの、月曜のAMに取引がなかったことになった。いとつらし。その後は同じものをAmazonや楽天で探してみたが出てきたSNKL45J1を新品2.8万円で買うつもりにもならず、腑抜けになってしまった。

30万でグランドセイコー、80万でミルガウス、どっちもすぐには予算的にも見た目的にも厳しいなとあきらめながら、手頃な機械式はないものかなぁとネットで探し始める。腑抜けたのに諦めなかった。珍しい。

1万円前後の予算ってのはこのタイミングで消えた。2年前なら在庫も色々あっただろう、とか、増税前に皆あらかた買っちゃったか、とか、入門機という考え方を忘れてみようと思った。ガシガシ使える中級機もいいじゃないか、と考え始めた。

SARX035

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何度も書くがダイアル、インデックスという固有名詞も最近学んだ。

ウォッチリストの整頓もかねて散々眺めてきたヤフオクをまた見直す。ふと目についたブラックダイアル、シンプルなバーインデックス、ケースサイズは? 値段は? ナニコレ? と掘り下げてゆくとPRESAGEのSARX035というモデルにたどり着いた。

定価税別10万円。新品実売価格は税込88000円……という当初の狙い=1万円機械式と比べると結構値段が上がったが手の届かないものではない。高すぎず安すぎず、見た目も好み。これはもう少し探してみる必要がある。

キャリバーがどうとか仕様のレビューはそういうのが得意な所からご確認を。とりあえず公式サイト貼ってみる。

そしてSARX035も網羅した時計情報サイトも確認。


レビュー動画を参考にしてみる。

動いている実物を眺める為には実店舗へ行くのが一番正しいのだけれど、既に居ても立っても居られない状態の僕はYouTubeを頼った。レビュー動画はとてもありがたかった。

下の動画かな、配信者様がグランドセイコーを着用していて、同時にスプリングドライブの動きも確認できたのはかなり助かった。グランドセイコーの動き、SARX035の動き、どちらも想像通りで、今の僕にはSARX035が身の丈に合っていると判断した。

そこからは早かった。ヤフオクとヤフーショッピングを一気に眺めて程度のよい中古の個体をすぐカートに入れた。翌朝9時前には注文完了のメールも届き、その日のうちに発送メールも届いた。

中古品でキズは気にしていなかったし、使っているうちに汚れたり更にキズがついたりする予定だ。使えば使うほど腕にも馴染むだろう。

届いた。

時刻も日付も合わせず腕に合わせてみたが少し緩い。記事頭の写真がそれだ。近所の商店街にある時計屋はもう閉店していて、ダイソー300円商品のベルト調整工具はそのダイソーでは取り扱っていなかった。

半泣きで同僚と友人にLINEし調整工具を調達してもらった。作業自体は短時間で調整出来た。Cリングタイプのステンレスベルトという事だった。道具さえあれば、ネットで探せば手順も見つかるし作業も簡単な部類だと思う。

着用してみた印象としてはケース40.8ミリ、思っていたより小さい。もうひとふたまわり大きくてもいい。色々とレビューを読んでいて、ここ最近のケース大口径化が苦手と言われる人達の方が多かったが、個人的にはもう少し大きいのがいいなと感じる。


得たものと失ったもの

初めて機械式の腕時計を買う。

この特別な体験、First Timeは一回きり。その一度きりの機会を「中古で、次の大物を買うまでのつなぎ(に使うつもりの時計)」で消費してしまったかのような小さな後悔の気持ち。

そんなに大げさな事ではないけれど、note.muにアカウントを作って一部始終を残させるくらいのエネルギーが、この後悔にはあった。

SARX035を大事に直し直し使う一生モノとして購入した(とか、これからそうする予定の)方もいると思うし、僕自身もそうするかもしれない。大事に扱えば道具は応えてくれるはずだし、ひとつひとつの傷も愛しくなってくる、今はそう思っている。が、こんなにすんなりと買ってよかったのかな、と思う。

得たもの。時計選びから届くまでのドキドキわくわくは、この所本当に忘れていた感覚で、とても刺激的だった。

そんなに大げさな事ではないけれど、note.muにアカウントを作って一部始終を残させるくらいのエネルギーが、このわくわくにはあった。

普段話さなくなった友人ともまた話すようになったし、普段一人で作業している仕事場でも別フロアの同僚と話すようになった。活力不足でぼんやりしていた頭も、買い物というか消費によって少しシャキッとしなおしたし、ほぼなくなっていた物欲もまた小さな火がついたと思う。

おわり

アフィリエイトでも貼ろうと思ったがいまんとこはまだいいや。とりあえずの備忘録だしな。

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