カメレオンの眼*7

都会のバスの勝手を知ったので
涼しい顔をしていられるようになった。

一つの乗り場に幾つかの系統番号が
数分おきの短い間隔で発着する都会では、
長蛇の列が綺麗に分かれてゆく。
このバスなら順に乗り込み
このバスでないならまた新たに列を作る。

その仕組みを理解していなかった数日前の私は、列が作られるよりもずっと前にバス停にいながら、最後に乗り込むことになったのである。

悔しいとか悲しいとは思わなかった。
新しいことを知る、一つの経験だと素直に感じた。

まだまだ知らないことが沢山ある
そんなことを思う瞬間が溢れているこの頃。
未熟さに落ち込むよりも
わかるように、できるようになろうと生きている。

小学校低学年の2年間はバス通学で、
座高の低い当時の私は
上手く降車ボタンを押すことができなかった。

同級生がボタンを押す毎日。
珍しく自己主張をして、一度だけ押したことがあった。

あのときの満たされた感覚を
今の私も追いかけていたい。

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