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無くならなかった居場所


元恋人とよく一緒に行っていた珈琲屋さんがある。


もともと、彼の行きつけの珈琲屋さんで
「僕の彼女です」と、紹介してもらった。
とても嬉しかったのを今でも鮮明に覚えている。

初めて行った時から
みんな下の名前で呼んでくれて
店主さんも常連さんも
すごく温かくて居心地が良かった。


何よりも店主さんの
考え方がとても好きだと思った。

だから、
彼と別れてからも足を運びたかったけれど、
偶然にも彼と顔を合わせることになって、
彼の居心地を悪くしてはいけないと思ったら
なんとなく私は行くべきじゃないと感じていた。

今日、珈琲屋さんの前を通ったら
店主さんが一人で豆を挽いていた。

久しぶりで緊張しながらも思い切って、

「お久しぶりです」ってお店に入ったら

「お〜!!!久しぶりやねえ」
「なんでしばらく来んやったんや」って言ってくれて

自然と口元が緩んで心がジーンとした。

1時間くらい居させてもらって、
お話をした。

彼と別れたことや、
別れた理由などは常連の彼が話してたみたいで
深く聞かれなくて少しホッとした。


帰り際、

「あんたがお店に来にくいな、とか
  行くべきじゃないな、とか思うんは違うんよ。」

「また来るんよ〜」

って言ってくれた。


あ〜〜、私の居場所無くなってなかったんだって
すごくポカポカした気持ちになれた。



人がどんな風に私のことを話して、
それを聞いた人が
私に対してどんなイメージを持っているのか
わからない空間に入るのって少し怖い。

「また来るんよ」の一言の理由がたとえ、
社交辞令でも
彼の元恋人だからでも
それでもそう言ってもらえることで
" また来ていいんだ " って居場所がもらえる。

とても幸せなことだと思えた1日だった。



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