皮膚環境に共存するMalassezia restrictaとStaphylococcus属菌の転写の相互作用

2023年1月26日 15:23

https://www.jmb.or.kr/journal/view.html?doi=10.4014/jmb.2212.12026

Hyun Oh Yang1+、Yong-Joon Cho2+、Jae Min Lee1、Kyoung-Dong Kim1* （敬称略、以下同じ
1 Chung-Ang University, Anseong 17546, Republic of Korea システムバイオテクノロジー学科 2 Kangwon National University, Chuncheon 24341, Republic of Korea 分子バイオサイエンス学科

連絡先
Kyoung-Dong Kim, kdkim0122@cau.ac.kr
受理された。2022年12月12日、改訂。2022年12月30日; Accepted: 2023年1月2日
J. Microbiol. Biotechnol.

オンライン公開：2023年1月6日 https://doi.org/10.4014/jmb.2212.12026

要旨
マラセチア属とスタフィロコッカス属は、ヒト皮膚マイクロバイオームにおいて最も支配的な属である。この2つの属の間の相互作用を調べるために、我々はマラセチア属とスタフィロコッカス属の共培養によって誘発される転写の変化を調査した。RNA-seq解析の結果、M. restrictaはStaphylococcus属との共培養により、リボソームタンパク質をコードする遺伝子がアップレギュレートされ、アスパルチルプロテアーゼをコードする遺伝子はダウンレギュレートされることが明らかになった。我々は、ペプスタチンAアフィニティークロマトグラフィーと質量分析により、M. restrictaの主要な分泌型アスパルチルプロテアーゼコード遺伝子としてMRET_3770を同定し、MRET_3770の発現がStaphylococcus属との共培養やpH低下培地で培養されると著しく抑制されることを見いだした。さらに、M. restrictaの使用済み培地ではStaphylococcus aureusによるバイオフィルム形成が阻害されたことから、M. restrictaが分泌する分泌型アスパルチルプロテアーゼなどの生体分子がバイオフィルムの構造を分解している可能性が示唆された。また、M. restrictaと共培養したS. aureusの転写変化を調べたところ、共培養したS. aureusはリボソームタンパク質をコードする遺伝子の発現が増加し、リボフラビン代謝に関わる遺伝子がダウンレギュレートしていることを見出した。これらの共培養真菌・細菌のトランスクリプトームデータは、共存する2つの属のダイナミックな相互作用を示すものであった。
キーワード
マラセチア、スタフィロコッカス、アスパルチルプロテアーゼ、バイオフィルム、皮膚、pH

図解要約

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