アイドルとしてどう生きるか #ポプステ2

若手の役者さんを、女優として観るか、アイドル的な目線で観るかってジレンマがある人っていると思うんですよ。もちろんそれは女優さん側にも言えて、アイドル的な可愛さで売るか、演技を磨くかという葛藤。もちろんそれぞれの武器を磨くことが生き残るひとつの道だとは思います。

#ポプステ2 は、役者を本当のアイドルとして扱い、本気でダンスレッスンをして臨んだと聞きます。全員のTwitterを見れた訳では無いですが本番前から、それぞれを役名で呼ぶ様子も見えており、板の上だけじゃない本気度を表していたかなと思います。


あらすじ

あらすじ
韓国帰りのプロデューサー、古津本地は
帰国後早々にアイドル事務所、POP☆STAGE社を立ち上げ、 応募者約400名の中から7人組女性アイドルユニット、POP☆SWEETを誕生させた。 順調にファンを獲得し念願のワンマンライブも決定。 しかしは古津は「このままでは、パクが率いる韓国アイドルには勝てない」と、あるプロジェクトを始動させる。それはなんと、次のワンマンライブでPOP☆STAGEの新ユニット、オネエ軍団カマーズ26と、解散を掛けてのバトルライブだった。
動揺を隠しきれないPOP☆SWEETメンバー達に問答無用で、全てを掛けた
絶対に負けられないLIVE対決が今、始まろうとしている。

果たしてこの勝負の行方は!?
審査員はそこに居るあなたです。
お客様参加型(票)のリアリティーLIVE公演、
ここに、開幕!!
果たしてこのLIVEの結末は如何に!?

LIVEとガチ投票が売り

今作の一番の特徴は、POP☆SWEETとカマーズ26の本気のダンスバトルと、観客の投票による分岐エンド。上演中に、メタではなく観客とのやり取りがあるのは珍しい(それでなくとも割と観客弄りは多かった)作品だと思います。

アイドル組はお芝居パートよりもダンスパートの方が下手したら多い人もいたのかな?というくらいダンスにも力を入れた作品でした。もちろん、お芝居パートもアクセントではありますが、深い人物関係の考察や、伏線などではなくあくまでも、LIVEパートに繋がるまでの説明的な役割が大きかったかな?それぞれのパートの単発での演技やお話を楽しむ感じが強かったと思います。

ダンスは両チームともしっかりされており、コンセプト重視のなんちゃってではなかったのは伝わりました。細かい部分は私は評価出来ないので。
(強いて言えば、本職のアイドル経験がある人やダンスで戦ってた人のキレは目立った)

個人の願望としては後に書きますが、「アイドル」を応援するのに足りない部分が構成としてあったかなーと感じました。

クスリと笑えるお芝居パート

お芝居パートは、ほとんどシリアスなことはなく、コメディちっくに笑えるものが多かったです。オタクたちはちゃんとオタクしてるし、カマーズの乙女らしさと漢らしさの波、POP☆SWEETのワイワイしたアイドル感などは観てて安心するというか、なんだか笑顔になるものでした。プリプリランドのキャストやオタクたちの箸休め的な笑いは、アイドルにゴリゴリでなくても楽しめたのではないでしょうか。

また、細かい部分だと、結果発表待ちではカマーズの方が全員で手を繋いで待っているあたりアイドル感が強く見えました。ただ個人の好みでは、せっかくオカマというコンセプトで笑いの様子も強かったので笑いながら乗れるゴリゴリのネタ曲があってもよかったかな?という部分はありました。その意味だと、POP☆SWEETは楽しくてキャッチーな振り付けと耳に残るフレーズと、かっこいい曲のギャップというマッチングもあって、POP☆SWEET側に投票しました。
プロ野球のゴールデングラブ賞みたいに理由を付ける必要はないですが、「どうせ推しがいる方に投票した」感は少しでも薄くしたいと思いまして。。。
でも、どちらのパフォーマンスもしっかり見てとれるものでした。


アイドルと役者

冒頭に書いたとおり、アイドル的な売りと役者の売りって近くも遠いものはあると思います。かつてAKB48のオタクをしていましたが、女性アイドルって大前提が「可愛い」にどれだけ肉付け出来るかだと思うんですよ。その肉が、ダンスの上手さ、トークの上手さ、仕草などなのかなと。
反面役者の大前提はやっぱり「演技」なのかなと思います。
ここの違いって実はすごく大きくて、可愛いって未完成でも「可愛い」になるけど、役者の未完成は評価ではないので。極論、演技が棒でも「可愛い」で済まされる部分がある世界と、済まされない世界の違いはあります。

アイドルでも演技が上手い人がいるぞ!失礼な!
っていう人もいますが、そりゃそうですよ。でもアイドルの必要条件じゃないし、あの指原莉乃さんだって、最初は「ヘタレ」に同情する部分が多かった人ですから。
でも、演劇で食べていくのなら演技は必要条件なわけですよ。可愛いだけで演劇で重宝されているのは、個人的には違うかな?と思います。(結果としてそうなる人もいるかもですが)

とはいえ、そういう葛藤もある人がいるであろう中でどう役者が「アイドル」として振る舞うかが見どころでした。
個人的には、本地が本来はオカマキャラでないのに、ダンスパートでは小っ恥ずかしさの欠けらも無い笑顔を振りまいていたところが一番「アイドル」していて「役者」であるなと思いました。

ただ、カマーズに引き込まれた際の暗転は後ろの青いライトがない方が、闇に引き込まれた感じが出たと思いました。断末魔のあとに、うっすらとでも退場するのが見えるのは個人的にはマイナスかな?(というより今作は蓄光を使った完全な暗転がなかったのですが、そういうもの?

役者とアイドルのギャップ

僭越ながら、4年ほど倉持明日香というアイドルを好きだった身としての感想ですが、結論アイドルとしての生活が短すぎた。と思います。
カマーズこそ結成してわずかですが、POP☆SWEETはデビュー1周年という設定。そこのギャップは上記の役者である部分もあって跳ね返し切れなかった印象です。大きく2つ要因があると思います。

まず、役者として個人的にご法度なのがパフォーマンス中にお客さんにアピールすること。人によっては客席を観ない。という徹底をされてる人もいるでしょう。ですが、アイドルはむしろパフォーマンスだけでなく客席へのアピールか生き残りに大きく関わります。なんとなーく、その部分が全体的に拭いきれてないというか、お客さんの前でLIVEをする経験値の少なさがちょっと出たような気もします。こればっかしは難しいですが。。。
実際、知ってるオタはもちろん、知らない人にも目を合わせる、ハート飛ばすなどのいわゆる「釣り」行為がAKBのコンサートではあったなーとちょっと思い出しました。

ただ、パフォーマンスの中で客席にアピールする姿は随所に見られたので、おそらく回数を重ねる毎に経験値が増していくのではないでしょうか。

そしてもうひとつが、アイドルを応援する上での重要な「個性」や「バックボーン」です。それが今作だとちょっと出てこなかった。アイドルってもちろん顔でもあるんですが、その人がどういう人なのかに依存する部分も大きいです。私の場合は倉持明日香が「同い年」「同郷」「野球」という共通項が大きかった訳です。
今作は、役名というよりも生活そのものを「アイドル」として作り上げねいました。であれば、もう少し各個人の個性やバックボーンが作中あったら「可愛い」に肉付けをした魅力が出てきたように思います。例えば、リーダーの美涼がなぜリーダーとなったのかや、リーダー故の苦悩がもっと出ていたら、「POP☆SWEETのオタク」がもっと増えていたように思います。
アイドルオタはそういうストーリーもなぞるのが好きだったりします。(若いメンバーに転々として行くタイプの方はそうでもないかもですが)
YOASOBIのアイドルの歌詞にあるように、こっちが知りたいと思うことをあしらうような、ファンを手玉にとるような魅力が映るシーンがあると嬉しかったかも。

元ドルオタ故、どうしようも無い部分もあるよな。と思いながらもちょっと書きました。でも、男性アイドルを観る目線や、1stステージを観た方だと印象は変わるのかな?

もちろん、皆様がアイドルとしてこの場に本気で臨んだキャストの皆様があってこそ、敢えて「アイドル」としての評価を強めに交えてみました。なんとなくのお芝居アイドルならもっと甘々に書けたと思います。

アイドルとして好きになったあと

今回はアイドル的な良さで気になるキャストが増えた方は間違いなく多いと思います。もちろん、そういう目線で見ることは、アイドルとしてこの場に臨んだキャストの方がたや演出家の本意であると思います。もちろんアイドル組以外にも気になる人がいたら、勢いで好きになってもいいと思いますし。
ただ、あくまでも「役者」である側面はあるので、その部分は応援してあげて下さい。というのが個人の言葉。だって、役者に対して「噛んじゃうのも可愛くて素敵」って皮肉にしか聞こえないので。。。

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