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マッチングアプリ

 マッチングアプリを始めた。正確には数ヶ月前からインストールだけはしていたのだが「無料いいね」「いいねを購入する」などの概念や、単純に人の写真をフリックして横に飛ばす(勢いをつけてフリックすると遠くに飛ぶ)という傲慢なUIに強いストレスを感じ触らずにいた。でもまあやるかと思い始めた。でもまあやるかという言葉はいつも私に元気を与えてくれる。

 しかしながらいざアプリを前にしてどんなことができるのか調べてみると不可解な点がいくつも散見される。まず、いいねをし合うことでメッセージのやりとりができるらしいのだが、無料会員の場合は最初の一通しか送ることができない。初手に全て込めて外したら死ぬ示現流みたいな無課金主義のユーザーがいたら愉快だが、会話というのはストーリーを形づくる架け橋であるからして、その橋をサービス提供者に落とされるのは単純にそんなことするなと思う。課金しました。

 そもそもなぜこんな、ユーザーがデータベースに入力した情報を小出しに表示したり制限することで金を徴収する下賎なアプリを始めたのかと言えば、他人となんらかの関係性をつくりあげたいからというのがある。友達はまあいるといえばいるが、友達という関係は各々がひとりで存在しており私もひとりで存在しており、話せば笑うが互いを縛りつけるものはなく意見が決定的に違った場合なんかはそこから自然と他人にもどる。まさにこれぞ人権といった感じで友達というのは助かるものだが、私は他人に縛りつけられたい。できれば好意を抱いている女性から毎晩何時に電話してほしいなどと指示されたい。私は通話が大嫌いだし当然そういったことを指示してくる人間も意味がわかりはしないが、しかしなぜ私はそれを望むのか?それはなぜなら恋人だから仕方がないという気持ちになりたいからだ。今これを読んでいる人のなかには、恋人や夫婦という関係のなかで今まさにそういったモラハラにもなりかねない問題に直面し真に切羽詰まっている方もいるかもしれない。しかしながら今の私には関係なく、竜宮城で過ごす時間は毎日が楽しいから早く過ぎたのではなく毎日に起伏がないから早く過ぎたことを考えれば、この自由で、やる気を出す必要があまりない楽でつまらない生活に私は見切りをつけたい。なお、私は相手に対して毎日決まった時間の通話を強制しない。私がされたら嫌だからだ。以上をもって自己紹介を終わります。

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