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ジッポ

    アニメやバラエティなどのテレビを見たら頭が悪くなる、という謎の育児方針により情報を規制されて暮らして来た私は、お小遣いをコツコツと貯めて当時500円ぐらいだったポケットラジオを購入し、寝る前に布団に丸まってイヤホンでラジオを聴く、という事が唯一の楽しみであった。ラジオ局の近くに住んでいた、という事もあって、日曜日には1人で公開録音を観覧しに出向いたり、ラジオパーソナリティーが無料で行っている音楽イベントなどに足を運んだりしていたのが、私の小〜中学生の淡く不確かな記憶である。

    大人になるにつれ、多くの事は忘れてしまったが、今でも覚えているのは、ZIPPOについてのラジオ。ZIPPOってのは、無論オイルライターの事である。オープニングは当時わからなかったが、おそらくJAZZであろう音楽がゆったりと流れ始め、ZIPPOに火を付ける音と優しい女性の声で、今日のZIPPOは〜、とZIPPOについての歴史やランク、値段などを紹介して、軽いラジオドラマなんかもあったような気がする。不確かな記憶だが、幼心にZIPPOって格好良いなぁ、という憧れが毎週、蓄積されていった。

    それから何年が経ったのだろうか、当時好きだった女性がタバコを吸っていたから、という不埒な理由からタバコを手にした私だが、人生初めての1本目は憧れのZIPPOで行こうと決意して、ZIPPOを購入、火を付けてタバコを吸い込んだ瞬間にむせ返り、よだれが滝の様に流れながらも、その女性を思い、自然に煙を吸い込めるようになるまで家で1人よだれと嗚咽を撒き散らし、吸えるようになってから話しかけて仲良くなったのだが、彼氏がいる事が発覚してタバコだけが残った。ドゥワドゥワ。


    それから更に何年が経ったのだろうか、長くタバコを吸っているとZIPPO自体がオイル交換やらなんやらで面倒くさくなり、遂に使わなくなってしまった。



    その内に吸わなくなる日が来るのかも知れない。



↓    そんな愛しのタバコを楽しむ動画はこちら。


体に悪いからやめなって言っても、いつもプーカプカプカ〜。

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