【将棋の話】髙野秀行六段の博識に驚かされました。
この二行は、昨日つぶやいたイベントに実際に参加して、そのときアンケートに書いたコメントです。
はじめに
実は、当日になってアクシデントが発生していました。
ということで、会場は変わらずに、急遽Zoomでの視聴に変更になったのです。
髙野先生の体調は心配でしたが、内容は大変素晴らしくて、オンラインでも開催して頂いて良かったです!
講座の感想
この記事のタイトルそのままで、「髙野秀行六段の博識に驚かされました。」ですね。
チェスライクゲーム伝来の歴史
チェスや日本将棋、中国象棋の共通のルーツがインドのチャトランガである、ということは予備知識として持っていました。
そこに、どのルートで派生したどの国のゲームの特徴は何で、日本将棋との共通点が何であるか、何通りかの仮説を分かりやすく提示してもらえて、確実に理解が進んだと思います。
また筆者は、歴史の知識としても、越前朝倉氏の本拠一乗谷館の遺構から将棋駒が出土していたことは知っていました。
安土桃山時代に、大橋宗桂と本因坊算砂が対戦していたことも。
しかし、知識以上の感覚的なもの、例えば「囲碁の家元は四家で将棋は一家(三家の中から代表者を出す)という取り決めは、当時は囲碁の方が地位が上だったことを意味する」というような意見を聞けたのは貴重でした。
日本将棋の発展の歴史
そして、江戸時代の家元制度から実力名人制への変化は、職業選択の自由という基本的人権を認める歴史の流れから当然のことだと、個人的には考えていました。
それに対して、今回の講座の要点は違います。
家元制度はつまり、ときの政府(江戸幕府)が非営利団体に予算(扶持米)を交付して、「そこから研究費を出して将棋を研究しなさい。年に一度研究成果を発表しなさい(=御城将棋)」という制度だった。
それでは技術の進歩は遅いし、何より数人しか将棋で食っていけない。
だから、現役のプロ棋士の目から見ると、家元制度の廃止は、棋士が職業として成立するかどうかの分岐点だったということになるので、一般人が考えるよりも大きなことだったのだなと理解できました。
筆者の質問と回答(概要)
Q. 現在の将棋の隆盛は新聞棋戦によるものが大きかったと理解しました。
新聞には観戦記が必要で、髙野先生も観戦記を書く二刀流で活躍されています。
最近では鈴木大介九段が「麻雀と棋士」の二刀流で話題になり、古くは内藤國雄九段が「歌手と棋士」の二刀流をされていました。
これから面白いことで話題になりそうな、二刀流の棋士がいたら教えて下さい。
A. 私(髙野秀行六段)より前の世代は将棋一筋がよいとされて、高校にも行かない棋士が多かった。下の世代は、例えば中村太一八段や広瀬章人八段は早稲田大学で素晴らしい研究をして「学校に残ってくれ」と言われていた。谷合廣紀四段は現役の東大大学院生で、人工知能研究で知られている。
今後はさらに、将棋のためにAIを研究するだけでなく、いろいろな経験が役に立つ多様性の時代になると思う。
(ほかにも数名の棋士の名を挙げて頂きましたが、記憶しきれませんでした。もしZoomの録画が入手できたら追加訂正します)
髙野先生の著書
筆者は、髙野先生の著書「将棋「初段になれるかな」大会議」を持っています(会場にも持っていきました)。
本書には、アマチュア初段以上の22人からアンケートを取って、級位者の壁を破って初段になるコツをそこから見つけようという趣旨のコーナーがあります。
当時筆者は縁があってその22人の一人としてアンケートを書かせてもらい、出版記念イベントにもオンラインで参加させて頂きました。
このような縁がある髙野秀行先生のことを、今後も応援させて頂きます!
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貴重なお時間を使ってお読みいただき、ありがとうございました。有意義な時間と感じて頂けたら嬉しいです。また別の記事を用意してお待ちしたいと思います。