銘酒「出世男」

中にいくら入っていたかは分からないが今年阪神で20歳になった前川右京外野手が同年の森木大智投手中川勇人捕手とともに24日、球団事務所での球団の「20歳記念品贈呈式」に出席、栗井一夫社長から祝儀袋を贈られた。

 奈良の智弁学園高から入団の前川、左打ちで身長は1m79と小柄だがスイングは鋭く、その点を岡田監督に買われ2年目の昨年1軍デビューを果たし、33試合に出場したが好機の打席で三振、ベンチに帰って泣いた。この涙以降前川の評価は下がり2軍落ち、それに体調不良が重なりそのまま1軍に呼び戻される事は無く18年ぶりのリーグ優勝も38年ぶりの日本一も直接味わえなかった。

 打率2割5分5厘、打点7で本塁打は0に終わった2年目、同じ失敗を繰り返さないためにこのオフは体幹の強化に力点をおいてきた。「2年目の昨年はいい経験をさせてもらった。それを無駄にしたらプロの世界から消えていってしまう。今年はやるのだという気持ちは強い。打率と打点にこだわりたい。打率が3割に届かなくても出塁率4割とか、四球を増やすとかそういうところにも目をむけたい」。

 昨年5月に20歳。年末年始は三重県の実家に帰省、その際「おじいちゃんが1升瓶の『出世男』というお酒を買ってきてくれ一緒に吞ませてもらいました。おじいちゃんの願いかなと思います」祖父は1本独鈷の漁師、「出世男」は江戸時代中期から創業280年余を数える奈良県河合酒造が醸造の銘酒だ。

 中堅近本を囲み左翼ノイジー、右翼森下だった昨年の阪神外野にについて岡田監督は24日、関西プレスクラブ新年会員交流会に招かれ行った講演で「今年ポジションが決まっているのは中堅近本、1塁大山、2塁中野の3人で後は競争」と話した。

 二つ未定の外野、前川にもチャンスありでそのためには体もそうだが気持ちも強くなる事。もう泣いたらいけない。森下との間を分けたのはこれだった。

令和6年1月26日

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