番外編〜派遣標準記録

今夏パリで開催の夏季五輪の競泳代表の選考会が17日から東京アクアティクスセンターで開催、第2目の18日、女子100mバタフライで令和元年白血病が判明、その窮地から立ち直ったあの池江璃花子(横浜ゴム)が派遣標準記録を突破、2位に入り五輪代表にきまった。池江は3大会連続出場だが前回の東京大会は病が癒えたばかりでリレーだったが、パリでは個人として出場の切符をつかんだ。

 1位は17歳の平井瑞希でタイムは56秒91で池江は57秒30。3位の松本信歩は57秒31、その差は0.01。五輪出場は派遣標準記録の突破が条件。100mバタフライは57秒34。池江は0秒04上回り、3位の松本も超したが池江が0秒1差で制した。

 薄氷の五輪切符だったが池江は「順位は負けたが満足している」と納得顔。白血病から復帰後は決して順風満帆ではなかった。「行けないと思った」という東京五輪にリレーで出たものの以後伸び悩んだ。それが昨年10月に練習の拠点を豪州に移してから自信を取り戻した。現地で「楽しい思いをさせながら強化を図っていく」コーチに出会えたのも幸いした。「褒めてもらう事が多い」という環境で力を取り戻していった。

 令和元年12月白血病からの退院時立てた「パリでメダル」は「消して欲しい」といい、世界との差を認めたうえで「もっと上にいきたい」がパリで目指すところだ。

 派遣標準記録をめぐる戦い同日の男子400m個人メドレーでもあって18歳の松下知之が4分10秒04で1位となり初の五輪代表になったが2位の瀬戸大也は4分10秒84。4分10秒63の標準記録に0秒21届かずこの種目の代表入りをにがした。

 派遣標準記録との闘いは3日目19日も展開。最初は400m個人メドレー。派遣標準記録は4分38秒53、東京五輪で200mメートルと合わせて金メダルを取った大橋悠依と高校2年成田との争いとみられたが大橋は最後の自由形で力尽き4分38秒89で4位。1位成田は4分35秒40、2位谷川亜華葉は4分35秒60、ともに標準記録をクリア、代表が内定した。

 もう一つの突破標準記録53秒21の100m男子背泳ぎは決まれば日本人初の五輪大会5回出場だった入江陵介は54秒10で2位。トップの松山陸も53秒72でこの種目の内定はなかった。

 勝っても中身が伴わないという事。泣いている選手の方がはるかに多い。

令和6年3月20日

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