迫りくる増税の足音③とんちんかんな擁護が出てくる不可思議な現象

例の矢野論文は総じて批判にさらされているものの、一部では日本は財政危機だという連中もいて、かの、山本一郎も「財務省のぶっちゃけ話が文春に掲載されたら炎上した件について」という記事をあげていたので、検証してみよう。

公債残高から語る愚かさ

実際には矢野さんの記事のように書いてること自体は別に間違いではなく、特別会計を含めても我が国の公債残高はそれなりに危機的状況です。

山本一郎も矢野論文と同様、負債の総額だけで日本の財政を危機的と考えているようだが、そもそも特別会計って、フローも収支差額プラスで剰余金もプラスなものだらけなのだが。年金は大幅に債務超過だけどね。

印象論で語る愚かさ

小泉政権から旧民主党政権を挟んで安倍政権のアベノミクスまでは新自由主義的な金融政策で「デフレ対策」を大義名分として金融緩和と成長戦略、財政出動を旗頭にビシバシ国債を買い上げたことで、これが実質的に財政規律の観点からは大きなマイナスになっていたこと

次に矢野論文をサポートすべく、小泉政権以降、財政規律が悪化したと、印象論を語っている。が、ここ20年で収支均衡にもっとも近づいたのは、06年度、つまり、小泉政権後期である。この手の印象論が財務省に刷り込まれ、増税を容認していくのは見逃してはならない。

ブラックスワンを持ち出す愚かさ

矢野論文の基礎となる矢野思想はすでに2005年くらいから著書で同じことを言っていて、当時も同じようなことを喚いていたようだ。そこから15年たっても、矢野=財務省からみると明らかに財政が悪化しているのに、国債の金利の暴騰、国債価格の暴落も起きていない。当然、この手の連中が言い出す、ハイパーインフレーションもだ。

なのに、自身の理論の妥当性は疑わず、むしろ、今後はその手の事象が起こるかもしれないから、備えろという。

いずれこのままではタイタニックが霧の向こうの氷山にぶつかると分かっていて、悪性インフレによる貨幣価値暴落の可能性は予見されるのですが、それが「いつ」「どのようにして」起きるのかはまったく分かりません。東京にいずれ直下型大地震が発生して、太平洋側に大津波がやってくるぞとみな危機感はもっていても、このブラックスワンも同様の問題についてどう備えるかは常に考えておかなければなりません。

では債務残高がどの水準になったら、悪性インフレによる貨幣価値暴落が起きるのですか?対GDP比でいったらどれくらい?で、これほど崩壊しそうな財政だったらIMFはなぜ何も言わないの?

山本一郎や矢野事務次官に聞いても、答えられないだろう。だって、漠然とした不安に過ぎないのだから。それと、山本はブラックスワンに備えて何かやってるのかね。テキトーなこと書いているだけだと思うが。

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