海外MA成功の法則

豪トールHDへ5000億円も投じた日本郵政が売却を前提に考えているという前回の記事から逆にどういうパターンで海外=クロスボーダーMAは成功するのかと調べていくと、面白いアプローチを見つけたのでそこから分析してみましょう。

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https://item.rakuten.co.jp/book/12993145/

海外企業買収成功の3つの条件とは

本書の分析では、海外企業買収が成功するためには、①規模の優位性、②長期的な経営、③水平・垂直な投資の継続が必要といいます。

①規模の優位性
この本でいう規模は、売上または生産規模のことをいい、おおむね買収により規模が2倍以上になることが必要といいます。

②長期的な経営
買収当時の体制がどれくらい継続するかが、2つ目のカギです。要は買収時の責任者や買収先の経営者、従業員がいないとなると、当初の買収時の目的は達成するのがより困難になるということです。

③水平・垂直な投資の継続
例えば、ヨーロッパの企業を買収したあと、継続して他のヨーロッパ企業を買収したり、買収した先の製造設備への追加投資をしたり、周辺業態や川上川下の企業を買収したりすることで継続的な買収企業の事業継続や成長が実現できるというものです。

日本郵政のトールHDにこれらを当てはめると

①規模の優位性
買収直前の郵便事業の営業収益が1兆円に対して、トールHDの営業収益は6,500億円くらい。その後も、国内郵便事業が着実に成長しているのに対して、国際物流はむしろ減少傾向。ということで①は×

②長期的な経営
誰が主導していたかは不明といえば不明ですが、西室さん主導とすれば、ご本人の体調面の問題もあり、16年3月期に退任。え?買収から2年もたってないような…もちろん、専属の担当者はいるものの、経営という面では取締役クラスで張りつきくらいでないと経営ではないよね。ということで②も×。

③水平・垂直な投資の継続
実は開示されている情報をみても、トールHDへの投資をテコに周辺地域の会社を買収とかしていないし、最初に投じた額が5000億円だったのと郵政グループの規模が大きすぎて、小さい会社買っても分からないよな。ここは評価保留。

早めの結論

ということで、上記3つの成功条件と照らすと、すべては満たしていないことは明確でありました。いずれにせよ、どういう形で責任取るのかは気になりますね。まあ、曖昧なまま、過去の遺産を食いつぶしただけかもしれませんが。

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