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自由でいることの大変さ


本書の概要

2030年代に向かって明るい材料の少ない日本社会、特に中・低所得層にとっては生きづらい時代に突入する。本書では、そんな日本社会でどう生きていくか、何を選択するかのヒントを紹介。また、世界視点から見た日本社会のこれからと、予想される事態の対処法を指南。国内情勢から台湾海峡、東アジア情勢と日本国内の政治、行政と安全保障と民意、国民の生活防衛、安倍元総理の殺害や米中衝突の可能性といった分かりやすい事件・変化だけでなく、目に見えにくい侵攻、変化、意識など、「兆し」をどう捉え、どう対応していくか。「可能性に備える」ための、いわば「ワクチン」的な知識・教養を身につける1冊。

上記のサイト

読了後の感想

上記の版元の要約は本書の主張をうまく反映できていない。特に、最近の国際情勢を解説するよりもより大きな話をしているので、ここでは、改訂版として、本書のエッセンスを記載しよう。と言いつつ、3章目以降、これからの自由な社会を語るところはなんとなく雲を掴むような話を読んでいる感覚になった。

第1章 権威主義が人間を不幸にする(古いモデル、露骨な介入を行う権威主義1.0;権威主義2.0へ進化(一党独裁) ほか)

権威主義といえば、一党独裁や軍事政権が国民を弾圧するというのを想像するが、現在はさらに進化して、欧米においてはキャンセルカルチャーに代表される価値観の押し付けが横行する3.0へ進化している。日本はそこまでこれらの運動はないものの、一党独裁と3.0の間に位置している。これは、2020年から始まったコロナ禍での行動制限を見れば明らかな通り、なんとも居心地が悪いものの、争うのも大変なものである。

第2章 国民から「人生」を奪う政府の取り組み(自分の人生に対する「幸福感」の決定要因;人間の感情の是非に政府が平然と介入する社会 ほか)

「揺り籠から墓場まで」という言葉があるが、これは生まれてから死ぬまでを国家に管理されるということも含んでいる。日本でも社会福祉が世の中に侵食していった結果、生命至上主義のような、自分で人生を決めること、選ぶことよりも寿命を大事にすることを押し付けられるような事態が横行することとなった。

第3章 自由な社会のあり方(「自由な社会」とは何を意味するのか;テクノロジーの進化がもたらす2つの未来 ほか)

自由な社会で肝となるのは分散性と自律性である。権威主義は中央集権化を伴うものであるが、これに対抗するには分散したものが必要となる。また、自分たちの価値観を守るためには、自分で選ぶことができること、選択肢の多さこそが重要である。


第4章 「自由な社会」の人生の生き方(「自由」に生きる事例としてのノマド;権威主義社会で必要とされる能力の急速な陳腐化 ほか)

自由な生き方といえば、ノマドというのがあるが、それだけではこれからの世の中は自由に生きにくくなる可能性が高い。自由に生きるために、強靭性、選択制、決断力を備えることが必要だ。著者のいう強靭性とは柔軟性と自己統一性を兼ね備えたものであり、しなやかに強くという感じだろうか。決断力を養うために、すぐに動ける俊敏性、良いことを繰り返す習慣化、そして、読書で過去の成功や失敗を吸収するというのが面白い、



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