東京都税制調査会答申を読んでみた
都税制調査会が2021年10月22日(金)、自動車税をはじめとする税制の在り方を取りまとめた答申を発表したそうで、自動車に関連する税金で気になった点を書きました。
報告書の内容
現在の社会情勢を踏まえたあるべき税制の在り方を検討したようで、税目の消費税や環境税、自動車税等が報告書の対象となっています。今回は自動車税のところをみてみましょう。
調査会の自動車税に対する答申
CO2排出量基準の早期導入: 地球温暖化等の環境問題を解決し持続可能な社会を実現するためには、車体課税について、CO2排出量の要素(基準)を取り入れるなど、より積極的に環境税制として位置付けていくことが極めて重要。速やかに導入を検討すべき
車体重量基準と走行距離課税: 電気・燃料電池自動車等には、普及を阻害しないよう税率等を工夫しつつ車体重量基準の課税体系を早期に構築すべき。また、中長期的には、例えば、課税標準を車体重量又は走行距離に、又はCO2排出量基準との組合せとする方法を検討すべき
あるべき税制として、従来の課税方法とは別に、CO2の排出に応じた課税形態とすべきというのが、1つ目。一方の2つ目はガソリン車を前提として排気量ベースではなく、重量に課税することと、走行距離も検討に入れるべきということです。これらの税金は従来の自動車税、自動車重量税に変わるだけで、ガソリンや軽油にかかる税金は変わらずというのもこの提言のミソ。
見直すべき自動車関連税制
自動車関連税制はいたるところに税金だらけ。
自動車を購入した時と給油した時と所有を継続している時に税金がかかるのですが、課税の根拠も不明なものが多すぎるのですよね。
自動車を購入した時の税金=環境性能割+消費税
消費税は資産の取得なので分かるのですが、昔の自動車取得税、今の環境性能割っていう税金も取られます。自動車はぜいたく品という時代の名残なのでしょうか。
給油した時の税金=ガソリン税または軽油税+ガソリン、軽油に税金を加算した合計額に対する消費税
ガソリンと軽油にかかる税金の大問題は本体に税金を加算したものに消費税を課している点が1つ。もう1つは、税制で定めた本則の税率に加えて、上乗せの税金を上乗せしている点。ちょうど民主党政権時にガソリン価格が高騰して、この上乗せ部分を緊急停止していましたが、ガソリン価格が落ちつたタイミングで復活したまま、今に至っています。上乗せ部分は法律上は廃止したうえで当面の措置として残しているだけなのに、10年以上経過しています。
自動車を持っているとかかる税金=自動車税と自動車重量税
自動車税は排気量に応じて、税額が変わっていきます。電気自動車や水素自動車は一番税額が低いところに位置付けています。また、軽自動車は普通自動車よりも税額は半額以下と低いです(もっとも、排気量が667cc以下なので低くて当然なのですが)。
この税金の問題点は、保有年数が13年を超えると、なぜか税金が増えるところです。本当のエコという意味では、定期的に新車を買うよりも一台のクルマを乗り続けたほうがエコだと思いますが、これは自動車買い替えを促すという意味もあるし、日本の中古車が外国でも走り続けるという意味では判断が難しいところはあります。
自動車重量税は自動車が重い分道路に負荷をかけるのでその分を税金で回収して道路の補修保全に活用するという使い方は納得できるのですが、この税金も区切りが雑で0.5t増えるごとに税金も増えていくという形になっています。
提言全体の感想
この提言から分かることは、課税の公平性や適切な資源配分は目標としておらず、ひたすら課税の裾野を広げようというもの。軽自動車や営業者登録に対する税制上の優遇も課題として挙げているものの、上記2つの提案のように、提案には含めていません。この提言を国にするようですが、自動車の保有が必須な他の道府県を含めた日本国に対する提言として受け入れられる可能性はかなり低いと思います。
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