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契約レビューの処理順について考えてみる

こちらは法務系Advent Calender2021 (#legalAC)19日目のエントリーです。

@ahowotaさんからバトンを受け取りました、仲條と申します。
某ソフトウェア関連の企業で一人法務(知財は別に一人)やってます(少し詳しい自己紹介はこちらにございます。物好きな方はどうぞ。)。

今年も勢いで参加してしまったものの、みなさんのレベルの高さに本気で後悔しています…去年も同じことを思ったはずですが、今年はさらに…(泣)

まぁ書くと言ってしまった以上、頑張るしかないですね。

今回は、契約レビュー(契約書レビュー?契約審査?まぁその辺を指します。「相談」はちょっと別ということで。)の、しかも処理の順番のところに絞って、最近考えたことを書いてみようと思います。
当社での現状をご説明した後、悩み→解決策の案という流れが良いかなぁということで、そんな感じで。

1. 現状

1.1. 原則と「急ぎ」の扱い

当社では、一人法務で契約レビュー以外の業務もそれなりにあることもあり、

  • 受付から10営業日以内には絶対回答

  • その中でできるだけ急ぐが、相手方には10営業日かかると伝える

ということにしています(実際には平均3営業日ちょっとで回答しています。)。

そして、以下の理由から、契約レビューは受付順で処理するのを大原則にしています。内容問わず、一律で受付順です。

  • 公平に接したい

  • 「急ぎ」を安易に受け入れると、全て「急ぎ」になって結局受付順になる

  • どれが会社として本当に急ぎなのかが、法務ではわからない(と言って良いのかという問題意識はアリ)

ただ、受付順で回答が遅くなって案件を逃してしまっては困るので、本当の急ぎの場合は依頼者(営業の方)同士で調整していただくようにお願いしています(1.2.参照)。

ちなみに、依頼者同士の調整も絶対ではなく、以前、「これは会社として最優先だな」と僕でも思える案件がありまして、そのときは都度調整ではなく、執行役員から全事業部に「ある件を最優先にしてもらうから」と共有してもらう形にしました。

1.2. 受付・処理状況の公開

依頼者同士での処理順の調整を可能にするため、当社では、契約レビューの受付・処理状況を公開しています。
↓これです。

公開用リスト

自分の管理、統計用に別のスプレッドシートがあって、そこから公開できるものだけIMPORTRANGE関数を使って表示しています。
(経過日数の列を足しておきながら、入れてなかったことに今気づいた…。)

今は一人法務ですが、人が増えたらこれに法務担当者の列も追加することになりますね。

1.3. その他の例外

受け付けた時点でチラ見して、5分程度で回答できるようなものはその場で回答してしまいます。
この場合、リスト上、後に受け付けたものが「処理済」になるので、F列に「(秒対応案件)」って書いてます(ユルめ)。

2. 悩み

現状のやり方で、今のところ表立って大きな問題が生じているわけではないのですが、ちょっと気になっていることがあります。

2.1. 情報の扱い

営業の方が処理順の調整を行う場合、先に受け付けられている案件よりも自分の案件を先に処理すべき理由を説明する必要が出てきます。
大抵は、ふわっと説明すれば「いいですよー」と言ってもらえるのですが、本当の急ぎが重なったときには、少し詳細に入らないと決着がつかないわけです(調整できなければ受付順で、あとは仲條が頑張るよということになります。)。

ただ重要事実が絡んでくることもあるので、詳細は言えないこともあるんですよね。

なので、この点で、依頼者同士で調整してもらう方法には限界があるかなと。

2.2. 調整の手間

こちらは前々から気になっていたことですが、そんな手間を営業の方にかけさせるのはいかがなものかというのもあります。

実は、ちょっと前に、契約関係の苦痛をスプレッドシートに書き出してもらったのですが、その中でも、やはり調整が大変とか、公開用のリストでは結局いつ回答があるのかわからないとか、ご意見をいただきました(実際の書き方はもっとマイルドでしたよ。みなさん優しいので。)。

なので、ちょっと本気でここを何とかしたいと思うようになりました。

2.3. 回答までの平均日数

これは完全に法務視点なのですが、内容問わず受付順で処理していると、回答までの平均日数が長くなります(重い案件の直後に簡単な案件が来ると、簡単な案件も回答まで時間がかかってしまう、というだけの当たり前の話です。)。
日数は統計の一つとして経営に共有していることもあり、できるだけ短くしたいところです。

3. 解決策の案

ということで、これらの悩みを解決する方法を考えてみます。
まだまだ案の段階で、深く考えられてはいないのですが、ちょっと思いついていることをメモ程度に。
上手くやれれば、調整減らないかなぁ…全部やったらいいのかな…ぐちゃぐちゃになるかな…。

3.1. 公開用のリストに経過日数を表示させる

これはすぐできますね。というか列まで足してあったのに忘れていただけですね(→1.2.)。
これだけでも、営業の方は目途が立って少し安心できるかもしれません(早くやれ)。

3.2. 軽めの案件を優先的に処理する

軽め案件(継続案件(新規のレビューではなくカウンターが来たもの)及び自社雛形ベースの案件をいう。以下同じ。)は、時間がかからないことも多いので、新規かつ相手方雛形の案件(以下「重め案件」という。)と別枠で先に処理して、回答までの平均日数を縮めるのも手かなぁと。

ただ、以下の点は考慮する必要アリ。2点目は特に悩ましい…。

  • 形式的には軽め案件でも、時間がかかるものはある

  • 重め案件との処理順(軽め案件が来たらとにかく先にやる?それだと重め案件が放置されるケースない…?)

3.3. 秒対応(申告)案件を優先的に処理する

1.3.で触れたのと同じなのですが、そこに申告制を足してみようかなという案です。
現在は自分で見て気づいたものとか、先に「ここだけなんだけど…」と言われていたものだけなのですが、依頼時に「【秒対応希望】」とか書いてもらったら秒対応ちょっと増えるかなと。
意外と埋もれているんですよね。「いや言ってくれれば先にやったのに…。」みたいなの。

依頼者目線で秒対応でも、実際には時間がかかることもあるので、こちらで判断して本当に秒対応が可能な場合に限らないといけませんが。

3.4. 重い案件を別枠にして時間をもらう

ここまでの案とは逆の発想(?)で、ページ数や言語を基準に、見るからに時間のかかりそうな案件を類型化して、別枠にして時間を長めにもらうというのもアリかなと。

ただ、そういうのに限って急ぎだったりするんですよね…難しいかな…。でもとりあえずやってみようかな…。

4. さいごに

気が付けば無駄に長い文章になっていたようですすいません。解決策の案も言いっぱなしだし。

契約レビューの処理順なんて気にしてないよ、という方も多いかなぁとも思いますが、お一人にでも、何かヒントになっていたら嬉しいです。
「そこは違うだろ」とか「こうしたらいいじゃん」みたいなのもお待ちしてます!(特に後者)

お読みいただきありがとうございました。
明日はマギー住職さんです!

(ちなみに、契約レビューの受付自体にはContractS CLMのタスク機能を使っています。そこから↑のリスト(みたいなの)が自動で作れたらいいなぁ。)

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