同時通訳中 2023/7/11

この殺人的な湿度には我慢ならん!エアコンの除湿を考えた人はノーベル平和賞ものだ。私の心の平和に少なくとも貢献してくれている。おそらく世界平和にも貢献しているに違いない。エアコンという文明の利器の最大の存在価値は除湿機能にあると言っても過言ではない。大体30度前後の気温なんて本来大した事はないはず。湿気さえなければ爽やかなもんだ。と、乾燥した地域で育った私は思うわけです。

さて、今朝も8時から13時までみっちり同時通訳。最近はたまに化粧品メーカーの案件が入るようになったのだけれど。業界の異なる2社のクライアントを相手にすることで覚えるべき用語は単純に2倍になる。同じ単語も同じような略語もまったく違うことを意味したりする。最初こそやれやれと思ったけど、もしかして相乗効果が得られているのかもしれない。今朝そんな実感があった。
通訳中は意外とたくさんの思考が並走している。両言語の間を行き来する概念以外にも通常モードで色々思いついたり感じたり、ついでに別のことを連想したりしている。脳には意外と余裕があるのだと思う。
昨日は化粧品メーカーの案件で、シンガポールとつないでシングリッシュを日本語に同時通訳する裏で、こんなことを思っていた。「こういう発音て私的には、厳密には英語だと思わない。なんなら完全に邪道だと思うし、彼らがもっと王道の発音に寄せるのが筋だとずっと思ってきた。けど中華系はインド人と並んでこの先も当分は二大マジョリティーであり続けるわけだから、こっちの方が米英の発音よりも市民権を得ることになる。。。と言う事は、今後通訳としては、やっぱりこちらに慣れるしかないんだろうなぁ。」
そしておそらく日本よりも蒸し暑いシンガポールの、日本よりもエアコンでキンキンに冷えているであろう会議室から、とんでもなく露出度の高い服装とバッチリきめたヘアメイクで画面越しに現れて、楽しげにプレゼンをする元気いっぱいの彼女たちにシンクロしながら同時通訳するうちに、こっちまで元気になってきた。発音は大いに聞き取りにくかったけれど、楽しんで仕事をする姿勢に好感を持った。
一夜明けて今朝、今度はIT企業の通訳。一発目から、中華系のなまり(こっちの会社にも中華系の社員はだいぶいる)への苦手意識がだいぶ和らいでいることに気がついた。もちろん訛りにも程度の差があるので、匙を投げたくなるようなスピーカーもいるにはいる。でも気持ちの上で相当楽になったし、先週よりも楽に聞き取れる。
また私はもともと化粧品メーカー(今のクライアントとは別)の社内通訳として働いていたので、そっちの案件の方が自分としても納得のいく出来になりがち。そこで自信をつけてまたITに戻るから気持ちの上でも負けないようになれるのかもしれない。今週に入ってIT企業の通訳が多少上達している気がするのは、化粧品メーカーを間に挟んでいるからだと思う。
複数のクライアントを持つなんて負担が大きいとはじめは思ったけれど、負荷をかけることで能力が伸びることもあるし(筋トレと同じ)、それぞれの体験が苦手分野のトレーニングとなり補い合っているようだから、結果的には良かった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?