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新しい教育を考える

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次の時代を築いていくための子供たちを育てたい。けれどそのためにはどのように教育を変えていけば良いのだろう。そんなことを考えつつ教育についての考え方や実践をまとめています。
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記事一覧

コロナで見えてくる教育格差とこれからの学校のあり方

ようやく6月から段階的に登校が再開されます。しかしこれまで通りの学校生活が再開するわけではありません。緊急事態解除宣言が先んじて出された北九州で、第二波の危機がすでに見え始めているところを見ると、東京、大阪、名古屋といった都市圏は(もちろん都市圏に限った話ではありませんが)、いつ再度外出自粛が要されるかわかりません。 (参考 : https://www.tnc.co.jp/news/articles/NID2020052707251 ) このような状況下において、子どもたち

「当たり前」をやめる教育改革 (後編)

前回は麹町中学校で行われている工藤校長の制度としての学校改革を紹介させていただきました。 今回は書籍『学校の「当たり前」をやめた。』の紹介記事の締めくくりとして、工藤さんの「学校づくり」に対する考えや改革をご紹介していきたいと思います。 「当たり前」を徹底的に見直す社会とシームレスな学校づくり 工藤さんが考える教育は「自分で考えて・目的を設定し・そのための手段を実行できる子どもたちを育てること」にあると思います。 そしてそれは社会で生きていくためには必須のスキルだといえ

「当たり前」をやめる教育改革 (前編)

はじめに 昨年の話ですが、何気なくテレビを見ていましたら、とある番組にて教育改革の成功者の特集が組まれていました。 千代田区立麹町中学校の工藤勇一校長です。(以下工藤さんとお呼びします) 以前より工藤さんのことは存じており、これまでの学校の常識を覆すような改革を成功させてきた人物としてたびたび取り上げられていました。 彼の著書を読もうと思いながら先延ばしにしてしまっていたため、番組を見たことを機に本屋へ足を運び、拝読させていただきました。 本記事のタイトルでもある『学校の

「意識(だけ)高い系にだけにはなるな」

タイトルにも書きました「意識(だけ)高い系だけにはなるな」ですが、これは落合陽一さんの著書『これからの世界をつくる仲間たちへ』(小学館, 2016)を読んでいて出てきた言葉です。 ここでいう意識(だけ)高い系とは、本人に専門性がなく「人脈」か「評価されない活動歴」「意味のない頑張り」程度しかアピールできるものを持っていない人だと説明されています。 このような人たちは広く浅い知識しかなく、人から聞いた情報しか持ち合わせていないため何の独自性も専門性もない歩く事例集とも評され

ICT教育のメリット・デメリット(2/2)

こんにちは! 前回の投稿ではICT教育をすることによるメリット・デメリットについてまとめました。 今回は引き続いて私が実際に現場で使用している機材や、使ってみての感想をまとめていきたいと思います。 機材紹介 1.ノートPC・タブレット 2.Bluetoothスピーカー 3.プロジェクター 4.Apple TV 以上の4つになります。 1~2は私物、3~4は学校の備品になります。 スクリーンは使わず、黒板に直接投影しています。 Bluetoothスピーカーとは簡単にいう

ICT教育のメリット・デメリット(1/2)

みなさんは「ICT」という言葉を耳にしたことはありますか? 教育現場でも盛んに話題となるICTですが、言葉の意味は以下の通りになります。 ICT(Information and Communication Technology)は「情報通信技術」の略であり、IT(Information Technology)とほぼ同義の意味を持つが、コンピューター関連の技術をIT、コンピューター技術の活用に着目する場合をICTと、区別して用いる場合もある。国際的にICTが定着していることな

教師と生徒の(あるいは教師と教師の)デジタル世代観

こんにちは。 今日は教師の世代観と生徒の世代観のギャップについて思うことがありましたので、取り上げようと思います。 デジタルネイティブとアナログ世代 デジタルネイティブ [Digital Native] 生まれながらにしてパソコン環境で育ち、とりわけインターネットや携帯電話などのネットツールを使いこなし、それにともなったものの考え方をする年代や世代のことを指す言葉。 ( 時事用語辞典, https://imidas.jp/hotkeyword/detail/K-00-40

イノベーターを育てるSTEAM教育って?

こんにちは。 タイトルにもあるSTEAM(スティーム)教育という言葉を最近よく聞くようになりました。 STEAMとは次の社会に必要とされる人材を育てるための教育指針であり、Science(科学)・Technolgy(技術)・Engineering(工学)・Arts(芸術)・Mathematics(数学)の5つの分野の頭文字を合わせた語になります。 次の社会とは「ポスト情報社会」や「社会5.0」などと呼ばれているAIや5G通信が社会に普及することで築かれる未来の社会のことを

落合陽一さんの考えるこれからの教育

『日本再興戦略』との出会い みなさんは落合陽一なる人物をご存知でしょうか? 最近はニュースZEROの火曜日レギュラーとして知られる方も増えてきているのではないでしょうか。書店に行けば彼の著書の特設コーナーが設けられていることも少なくありません。 「現代の魔術師」や「レトルトカレーをストローで飲む人」としても知られていますが、何をしている人かというと一言で表すことができません。 落合さん自身も、一言で表せるような単純なことはしていないし一言で表す必要もないといっています。 本