見出し画像

⑤臨床検査技師がFP3級に合格するまでの話(第5話)

タックスプランニング(所得税の基礎知識)

前回の記事では、所得金額の計算のうち、損益通算と繰越控除、所得控除についてまとめました。
https://note.com/nkwtrkzk/n/n493d4a6e4b23
今回はその続きとして、所得税額の算出についてまとめていきたいと思います。

所得税計算の流れ(前回からの続き)

④所得税額の計算

1)総合課税の税額計算
総合課税の所得税:超過累進課税率*が採用
*課税所得金額が多いほど税率が高い
所得税額=課税所得金額×税率-控除額

所得税の税率表(表1)

2)分離課税の税額計算
〇課税退職所得:他の所得とは分けて(表1)より計算
〇課税山林所得:他の所得とは分けて5分割して(表1)より計算
〇課税長期譲渡所得:20.315%
〇課税短期譲渡所得:39.63%
〇株式等に係る譲渡所得:20.315%

3)税額控除(住宅ローン控除・配当控除など)
【住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)】
≪住宅ローン控除の適用条件≫
・返済期間が10年以上の分割返済
・家屋の床面積は「50㎡以上」または「40㎡以上(合計所得1,000万円以下/2022年以降入居/2023年までの新築住宅)」で、かつ、床面積の1/2以上が居住用である
・控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下
・住宅取得から6か月以内に入居、控除を受ける年の12月31日まで継続して居住
・中古住宅の場合、一定の耐震基準を満たすこと
・所得税から控除しきれない場合、翌年度の住民税から控除

※繰り上げ返済により返済期間が10年未満となった場合、繰り上げ返済以後は適用不可
※親族、知人からの借入金は適用不可
※転居した場合、第三者へ賃貸した場合は適用不可

●控除率・控除期間

【配当控除】
上場株式等の配当所得:配当金分配時に所得税等が源泉徴収される。
配当控除:総合課税を選択し確定申告を行うことにより、源泉徴収額の控除を受けることができる
●課税所得金額が1,000万円以下の場合
配当控除額=配当所得金額×10%
●課税所得金額が1,000万円超の場合
1,000万円超の部分に含まれる配当金額×5%
1,000万円以下の部分に含まれる配当金額×10%

⑤所得税の申告と納付

1)源泉徴収制度
給与所得者は年末調整により所得税の精算を行うため、確定申告は不要。

2)確定申告
期間:1月1日~12月31日の1年間の所得から計算した税額を翌年2月16日~3月15日の間に申告・納付
申告:納税地(住所地)を管轄する税務署長へ持参、郵送、ネットで提出
納付:金融機関、所轄税務署で納付。ネットでの電子申告・納税、クレジットカードでの納付も可能

給与所得者は原則、確定申告は不要だが、次の場合には確定申告が必要
・給与が2,000万円を超える
・給与を1か所から受けていて、給与所得、退職所得以外の所得金額が20万円を超える場合
・給与を2か所以上から受けていて、年末調整されなかった給与(従たる給与)の収入と他の所得金額との合計が20万円を超える場合
・住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の適用を受ける初年度
・雑損控除、医療費控除、寄付金控除の適用を受ける場合
・配当控除の適用を受ける場合

3)準確定申告
確定申告すべき居住者が死亡した場合、相続人は相続開始を知った日の翌日から4か月以内に、死亡した人の所得について確定申告を行う。

4)青色申告
正規の簿記に基づいて所得税、法人税を計算して申告することにより、税法上の特典を受けられる制度。
青白申告:不動産所得、事業所得、山林所得のいずれかがある人が申告可能

新たな申請:申告する所得が生じる年の3月15日まで(1月16日以後に新規に業務を開始した人は、業務開始日から2カ月以内)に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出。
(一度承認されると、自ら取りやめるか、取消処分がない限り続く)

青色申告書は翌年2月16日~3月15日までに提出。
貸借対照表や損益計算書等の帳簿書類は原則7年間保存。

【青色申告の特典】
●青色申告特別控除(個人事業主の所得税に対する控除。法人は適用外)
≪控除額:55万円≫
①不動産所得または事業所得を生ずる事業を営んでいる
 →不動産所得は事業的規模(5棟10室基準)
②正規の簿記の原則により記帳している
③確定申告期限までに青色申告書を提出
≪控除額:65万円≫
①~③に該当し、電子申告(e-Tax)または電子帳簿保存を行っている
≪控除額:10万円≫
上記要件に該当しない青色申告者

●青色事業専従者給与の必要経費への算入
青色事業専従者給与を支払った場合(6か月超の従事が必要)、労務の対価として相当と認められる金額については、全額を必要経費に算入できる。配偶者控除との併用はできない。

●純損失の繰戻し還付
赤字が生じた場合、前年も青色申告をしていれば前年の所得と通算して繰戻し還付を受けられる。

●純損失の繰越控除
純損失を、翌年以後、各年分の所得金額から控除できる。
個人事業主は翌年以後3年間、法人は翌年以後10年間

5)個人住民税(都道府県民税・市町村民税・特別区民税)
前年の所得に対して課税され、翌年の1月1日時点で住所がある都道府県・市区町村に納付。
均等割:一律5,000円
所得割:税率一律10%

特別徴収:給与支払者が通知に基づいて給与支払時に天引き
普通徴収:納税義務者個人が、納税通知書・納付書に基づき納付。

6)個人事業税
一定の事業所得や不動産所得のある個人事業主に課される地方税。
1年間の事業所得から繰越控除、事業主控除(290万円)を差し引いた金額に税率(3~5%)を掛けて算出。


これまで、3回に分けて「所得税」についてをまとめてきました。
ちょうど昨日から確定申告の受付が始まりましたので、該当する方は早めに申告を済ませましょう。
私は今年が初めての確定申告ですので、いろいろ調べながら頑張りたいと思います…笑


それでは、引き続き、臨床検査技師の勉強にお付き合いいただければと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?