音が気になる

HSP (Highly Sensitive Person) という言葉を最近知った。感受性が強い人のことで、「繊細さん」などとも呼ばれている。

これがすごく自分に当てはまる気がしたので、関連する本をいくつか買って読んでみた。

この本とか。内容はまあまあ普通でアダルトチルドレンの本を読んだときほど「これだ!」感はなかった。けど、いくつか面白いことが書いてあった。曰く、繊細さんにも色々なタイプがいて、五感の中で特に敏感な器官は人によって違うのだとか。視覚情報に反応する人もいれば、臭いがすごく気になる人もいるのだとか。

それ聞いて自分を振り返ってみると、自分は聴覚についてすごく敏感なのだな、ということに気づいた。

学生時代にバイトでPC管理してた時はサーバールームが居室だった。快適に仕事していたのだが、ある日居室に新しいサーバが入って、それのファンの音がけっこう大きくて、ある日それがすごく気になり出してものすごく辛くなった。ウォークマンで音楽聞いたり色々頑張ったけどどうにも我慢できず、しまいには頭がおかしくなりそうになってボスにバイトやめたいですと直訴したらすぐにPC用防音ケースを設置してくれた(よいボスであった)。それでバイト辞めずに済んだんだけど、一緒にバイトしてた先輩は「俺はそんなに気にならないんやけどな…」とつぶやいていたのを覚えている。

俺はとにかく音に弱い。エンドレスに続く騒音に特に弱い。たとえば電車ホームのアナウンス、スピーカーの近くにいると音でかすぎて何も考えられなくなる。なんで同じこと無表情な声で二回も三回も言い続けてんの?ボリュームがでかすぎるぞ、と実際苦情入れたこともある。しかし妻は「そんなに大きく感じないけど…」と言っていた。たぶん他の人もそんなに気になっていないのだろう。大きいホームで違う列車のジングルが二種類かぶってる時、こんな環境絶対頭おかしいわと頭のなかで毒づいている。とにかく全ての時間を音で隙間なく埋め尽くそうとする都心が苦手。そういう意味では在宅勤務メインになって本当に助かっている。修士論文徹夜で書いていた時、一緒に徹夜してた隣の同級がずーっと鼻水をすすってるのが気になりはじめ、やめてくれと頼んだが(ごめんとは言ってくれたが)全然改善しないので限界になって部屋飛び出したこともある。スマホや携帯の操作音もダメなので自分のは全部オフにしているが、他人のは止められないので困る。操作音だけでなくバイブが震えてる音もダメ。LINEとかやと何十回も震えることになるからマジでつらい。連続で鳴ってる時はタオルにくるんでしまったりする。息子が遊んでるおもちゃでも、アンパンマン的なやつとかボタン押すと子供用音楽流れたりするやつあるんやけど、それも結局安い電子音で音が大きい(調整できない)ので息子が延々ボタン押し続けているとたまらなくなりおもちゃ取り上げてしまったりする。電話が苦手なのも結局それが関係してるのかもしれない。

そういう話を他人にしてもあんまり共感されなくて「え、そんなに気になるかな…?」みたいな反応になって悲しい思いをしていたが、「実際他の人は俺ほど気になってない」のだとすれば合点がいく。きっと電車内で音楽シャカシャカやってる人が隣にいたとしても、俺ほどにはストレスに感じないのだ。何で皆指摘しないの!って思ってたけど、たぶん気になってない。繊細さんの本には、自分の繊細な五感がわかれば、それの感度を落とす工夫すると楽になりますよと書いてあり、言われてみれば確かにノイズキャンセリング機能つきイヤホンつけて音楽や好きな動画見てると電車でも職場でもすっごい楽なのだ。これは肌が弱くてすぐかぶれるから夏でも長袖着るとか、花粉症だから花粉の季節にはマスク必須だとかと同じ範疇の話なのだと思う。だから適切に対処(防御)することで心の安静を保つ工夫を積極的に打っていくべき案件なのだと気づいた。

ちなみに音に対する感受性が高いのはいいこともある。音楽から細かいことまで情報が受け取れるので(演奏者の感情のコンディションまで)、合唱指揮者してた時は非常に役に立っていたのだと思う。虫の声、鳥の声、川のせせらぎや木の葉が風にそよぐようなかすかな音にも色々と感情か働き、それだけで日記が一本書けるくらいの思考が浮かびだす。あと、音がでかいことそのものがいやだということではない。意味があり納得感のある音の出し方であれば音量でかくても平気。踏切がカンカン言ってるのは電車が来る危険を知らせるためということで納得できるし、電車がこないのに無差別にカンカン鳴らすことは決してないという安心感がある。サッカー場行くと音楽も観客の声も地鳴りがするくらい大きいが、あれは応援、盛り上げ、一体感であるからして俺も一緒に乗ることができる。

ちなみに疲労がたまると視覚情報にも弱くなる。夜の街灯ですらまぶしすぎてつらいと感じるようになったり…難儀な体だ。

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