見出し画像

「シネマドリフター」リム・カーワイ監督 大阪の今描く最新作「COME&GO」

大阪に住むマレーシア人映画監督、リム・カーワイさんの最新作「COME & GO(カム・アンド・ゴー)」が3月12日、シネ・リーブル梅田で上映されました。第16回大阪アジアン映画祭の参加作品として。

「カム・アンド・ゴー」は「行ったり来たり、すれ違う」という意味なのでしょう。大阪で留学生や技能実習生として暮らしたり、夜の街やコンビニを支える労働力として働いたり。日本人を含めて、9の国と地域にまたがる多国籍の人たちの等身大で生きる姿を描いています。大阪の温かさも、外国籍住民たちの不安定な生活も、弱い立場の人が困難を強いられている日本社会の矛盾も、外国人の冷徹な目で浮かび上がらせています。

「シネマドリフター(映画流れ者)」という異名で知られる独自の作風が色濃くにじむ話題作です。

「新世界の夜明け」(2011年)、「恋するミナミ」(2013年)に続くリムさんの大阪三部作の第3弾。大阪キタの繁華街やJR大阪駅、中崎町の街並みを美しい映像で伝えています。
撮影は、平成の時代の最後となった2019年3~4月。2年前の桜の時期に撮影され、私もエキストラとして撮影に参加し、撮影現場を取材しました。

リム監督は、「いい感じに仕上がりました」と自信を示しています。
毎日新聞の同僚だった記者の取材に、大阪について、リムさんは「大阪の人は冗談とか、突っ込みが好き。すぐ友達になれるし、息苦しくない。精神性が(日本以外の)アジアに近くて、暮らしやすい」と答えています。

撮影から2年を経過し、コロナ禍のただ中にあるこの社会の暗部も鋭くえぐりだしています。大阪の多様性、そして、格差や矛盾をはらんだ日本社会の問題点を考えさせられるおすすめの作品です。


20210312_115407 リム・カーワイ監督 2人

#リム・カーワイ #COME&GO  #大阪アジアン映画祭