おせちしながき

おせち、おぼえがき④

島の酒肴編。

しまの祝膳といえばやっぱり豚肉料理。それと八重山ではあまり用いられないのですが、本島のお正月料理の定番ドゥルワカシーを一つのエリアで盛り合わせました。

【もろみ豚の燻製スーチカー】
スーチカを作るときうちではまず砂糖を三枚肉に擦り込み、そのあと塩をたっぷり揉み込みます。この方が塩の量も少なく、味もマイルドで旨味が増すように思います。ジプロックに入れて冷蔵庫に保存して5日間。流水で洗って一度茹でこぼしてから、水に泡盛、生姜、ねぎの頭を加えて一時間ほど茹でます。そのまま冷まし翌日スモーカーでスモークウッドの温燻で一時間ほどで出来上がり

【ミミガージーマミ和え】
買ってきたミミガーのスライスは2度ほど茹でこぼします。ピーナッツバターに白味噌、酢、薄口醤油、みりんを加えて練り、茹でたミミガーを和えます。

【島豚中身と昆布のイリチー】
これもスーパーで下ゆでしたものを売ってますが、そのまま使うとかなり臭い。片栗粉をふり混ぜ、少々の水を加えてよくもんでから流水で洗います。2回茹でこぼしますが2回目はお酢とベイリーフも加えて。(ランプレドットを作るときそんな風にして臭みを消したので)
細切り昆布と一緒にごま油で炒め、塩と薄口醤油、酒で味付けして出汁を加え汁けがなくなるまで炒め煮にします。
買った時のカットの大きさのままで作ってしまったが、もう少し物を細かくしたほうが盛りやすく、食べやすかったかも。

【ドゥルワカシー】
冒頭でもいいましたが本当では正月料理の定番のドゥルワカシーですが八重山では田芋自体あまり食べないようです。もちろん島でも栽培してるところはあるようですが、あまりスーパーや農協の市場にいっても売っていない。お正月ギリギリの時期になると茹でたものが並んだりするのですが確実に手に入る保証がないのので、仕方なく去年はわざわざ本島から取り寄せたんですが、今年は島産の無農薬栽培のタロイモが出てたんでそれで代用。ズイキがなかったのでインゲンで代用、カステラかまぼこは伊達巻の端っこがだいぶ余ってたのでそれで代用、自家製スーチカーとシイタケも入れて作りました。
スーチカの燻製の味がちょっと余計だったかな。

島の酒肴は器に盛ってみるとどうにも色合いが地味で。祝膳の雰囲気が出ない。なのでそれぞれに、島のスパイスを振りかけて一味プラス、色合いをつけました。
スーチカーには島唐辛子の七味。(赤)
ミミガーにはモリンガパウダー(緑)
イリチーにはピパーツ(黒)
ドゥルワカシーにはウコン(黄)


【自家製かまぼこ】
これも毎回同じようにやっているのですがなかなか思うようにいかないメニューです。
手順を追って

1 魚の下ごしらえ
その前年は冷凍保存したムルーやグルクンなど魚を解凍、おろして、骨やうろこ、内臓、血合いなどをきれいに取り除いたのと、セーイカを使いましたが今回はカジキマグロがあったので、刻むだけでおろしたり掃除したりの手間はなし。今回もセーイカを加えました。

2 水でさらす
刻んだ材料を氷水にさらしてさっとかき混ぜ、魚のくさみと余分な油、魚臭さを取り除き、ザルにあげます。この工程、二度三度やると色の白いなめらかなかまぼこになるのですが、魚の味も抜けてしまうリスクもある。一番最初に作った時は身を洗いすぎて味が抜けたスカスカのかまぼこになってしまいました。なので、今は一回だけあまり時間をかけずさっと洗うだけにしてます。

3 水を絞る
ガーゼに包んで水分を十分にしぼります。ここですり身の重量を計ります。この水分を絞ったすり身の重量に対して、塩は2%、みりん3%、片栗粉は4%、卵白を用意します。

6 すり身にする
水分を絞った身を分量の調味料と一緒にフードプロセッサーにかけます。この時フードプロセッサーの熱で焼けないように分量の10%くらいの氷を一緒に入れます。

7 整形
すり身ができたら、皿に半円系にに形を整えてのせて1時間ほど冷蔵庫で休ませます。この工程によってかまぼこに弾力とつやがつくらしい。

8 蒸す
蒸気がでてからかまぼこを蒸し器に入れます。温度が80度を下回らないようにして15分間蒸します。(小さいサイズで作るので)出来上がったら用意してあった氷水にいれ急速に冷やして締める。

以上で出来上がりなんですが、最初に作ったものを試食するとなんだかかまぼこらしい弾力が少ない。魚の旨味は十分なのだけど。。なのですり身に山芋を加えもう一度練り直し作りました。最初よりは格段に良くなりましたが前回の時よりはやはりなめらかさも弾力も劣る。。。うーんこうていはまるっきり一緒にやったつもりなんですが、何が違ったんだろ?魚の種類の問題でしょうか。ちょっと練りが足りなかったのかもそれない。次回はプロセッサーと大きなすり鉢も購入してダブルで練り上げてみようと思います。寝かす時間ももう少し長くていいかも。

あと紅いかまぼこはすり身に豆腐ようを練り込んで作りました。お重に入れるとちょっとくすんだ色合いになっちゃいましたね。味も自分達は気に入ってたんですが、ちょっとクセのある味になってしまったかも。

【マンピカー西京焼き】
西京焼きといいつつ、味噌は島のスーパーで売ってる「いなむどぅちみそ」を使いました。いなむどぅちというのは沖縄の豚汁みたいなもので甘いこってりした白味噌で作るのです。それ用の味噌、あらかじめ砂糖や水あめでお酒で練ってある白味噌が売ってるので、それに魚を漬け込むだけ。
でもこれもお重に入れるとちょっとモタッとした感じになるので、柚庵焼きとかでも(例えばゆずの代わりに黄色くなったシークワサーとか使って)良いかなと思いました。

【クリームチーズと豆腐ようの春巻き】
豆腐ようの赤みと春巻きという語感も縁起がよさげかなと思って入れてみました(笑)まあこれはお店でも定番の人気メニューなので。


以上、2015年おせちの覚え書きでした。
これを見返した来年はさらに良いものをお届けできればと思います。

何かご意見ご感想ございましたらお聞かせいただければ幸いです。

最後までご覧いただきましたりがとうございました。

【追記 1/13】
昨夜記事を読んでくれた料理人の方に、整形してから寝かす時間をたっぷりとるとツヤツヤとなめらかなかまぼこになると教えていただきました。半日、むしろ一昼夜とか丸二日とか。もちろん冷蔵庫で。あとおせちの場合どうしても作業がラストに集中してしまうので、今回魚のすり身にしたのを一度冷凍してギリギリで解凍、整形、蒸していたのですが、すり身を冷凍すると解凍時に水が抜けてしまうのでパサパサになると言われました。さもありなん。あと別の方からはすり身はすり鉢でとにかく摺る。摺りまくるじゃなきゃ弾力はでないよと。これも納得。おせちより前にかまぼこ作りもう一度やってみたくて仕方なくなってきました(笑)こういうレスポンスありがったいっす!感謝!



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