「人々のためのMMT」 プロローグ
わたくし、にゅんは、どうやらMMTerとしていちばん「プログレッシブ」な部類だろうなと思います。同時代を生きる(あるいは生きて死んだ)大切な人びとの中に、障碍者や、現時点で治療法のない疾病を抱えた人やその家族が何人もいらっしゃるからかもしれません。
そんなじぶんから見ると、ここ日本は、とどまるところを知らない異常な虐待国に他なりません。人類の歴史がもし続いたら、今の日本はカンボジアのポルポト政権に匹敵する恐ろしい国として歴史の教科書に載ってもおかしくないとすら思います。現時点での話です。
なので安富歩さんが言うように、今の日本にこんな酷いシステムは何とかしてもう終わりにしなければいけない、という考えをもっています。
そんなじぶんにとって、MMTの考えは一つの希望です。今の日本のシステムはそれ自体政治的な選択の結果にすぎない。「こうでなかったはずの日本」をわざわざ捨てている。
たとえば。
「障碍者が一番偉いことにする」という社会だって私たちは選ぶことができたはず。そういう空想をすることだけが楽しみになっているのです。
そんな中、最近は日本語のMMTにも良書が現れるようになってきました。二冊紹介します。一つは、望月さんのこちら。
この本では「租税貨幣論」「信用貨幣論」「債務ヒエラルキー」など、ポイントがきれいに整理されていたり、よく論争になるポイントをちゃんと抑えており、とてもバランスの良い素晴らしいMMT入門になっていると思います。
それともう一冊。かなりいいなと思ったのが小浜逸郎さんのこちらなんです。
気になる点は少しありまます。たとえば政府中央銀行がインフレをコントロールできる、すべき、と考えるという本来はMMTが批判しているはずのことを著者はまだ信じていて「誰もが認めざるを得ない事実」としてしまっています。
でも、特筆すべきは中野さん藤井さんらの議論で鼻につく「デフレ脱却!インフレ達成!」の論点がとても薄く、日本の不幸の元凶が緊縮財政路と規制改革路線であるということに集中し、「ではどうするか」をきちんと考えていく必要があるという問題提起が中心になっているところです。
いろいろ読みましたが、この二冊は突き抜けて素晴らしいと思いました。
それでも残る物足りなさ
しかしです。自分にとってはこの二冊ではぜんぜん物足りないのです。
第一には、貨幣とは何だろうという根本的な説明がもっとほしい。MMTer風情が「貨幣は借用書だと理解することが正しい」と言い張ったところで、「それは一つの立場だよね」と言われてしまうことがよくあります。もちろん、そう言ってくる人たちの考えが浅いわけですが。
そう、経済学の浅はかさはもう度を越しています。特にこの国で経済学とされているものが、どれほど有害で愚かなものであるかはもっと周知される必要があると思います。彼らが全員いなくなるまで。
第二には、この社会でマイノリティがどれだけ虐待されているかの説明がもっと欲しい。言い換えれば、MMTが切り開く社会変革の可能性がもっと知られてほしい。
第三には、この虐待を止める明らかな答案があるにも関わらずはっきり示されていないこと。なにしろ答えはわかっているからです。
こちらです。
経済的マイノリティからお金を奪う政策をやめろ!
「公平性」という嘘で弱者をますます虐める政策をすぐやめろ!
基本的生活権を全員に保証しろ!
奪った金を返せ!
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