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AIイラスト×500文字の物語|常世石

皆様は『常世石』をご存知でしょうか。

虹色に輝くその鉱石は、地球がまだ火の玉のように熱く燃えていた38億年以上前、冥王代と呼ばれる時代から数十億年の歳月をかけゆっくりと冷え固まりできました。

一説には、常世石の素は地球誕生よりもはるか昔、宇宙が誕生した時の高エネルギーの渦中で出来たとも言われています。そのことから"常世"の名を与えられているのです。

この鉱石を加えて鍛造された剣は、切れぬ物は世界に存在しないと云われ様々な神話において虹に輝く剣として登場しています。
また、持つ者に不思議な力を宿すと云われ、魔杖としての記載も残っています。

分析すれば遥か太古の情報を得られ、工学を千年進めるであろうこの鉱石は、残念ながら現代では全て単なる石屑へと変化してしまいました。

今となっては正確な理由は分かりません。しかし、私は世界の位相が変化してしまったためと推測しています。

氷が0℃で水へと変わるように、物質は周囲の条件、気温や圧力、共存物質の濃度などでその姿を変えます。これを相変化と言います。

常世石が存在できた世界の条件は、宇宙の変化とともに崩れてしまったのでしょう。

常世は移ろい、森羅万象は流転する。
いつの日か、また位相条件が整った時。石屑はまた虹色の光を取り戻し、その力が世界を照らすのでしょうか。

✎イラスト:Bing Image Creater
✎この物語はフィクションです



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