新型コロナ対応休業支援金・給付金のオンライン申請における疎明書問題

はじめまして、こんにちは。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金という制度において、オンライン申請時疎明書の添付不足が起こる問題について説明し、記録にのこしたいと思います。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金とは

新型コロナウィルスの影響で事業者から休業させられた労働者のうち、休業手当を支払われていないかたを対象とした、労働者自身での申請が可能な給付金制度です。

受付期間の延長

この制度において、2020年(令和2年)4月〜9月の間の休業を対象とした申請期限は2021年1月31日でした。しかし『新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金~対象期間・申請期限の延長についてお知らせします~』(PDF)のリーフレットによって、2020年10月30日公表の『新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の支給に当たり、事業主の皆さまのご協力をお願いします/新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の対象となる「休業」についてお知らせします。』(PDF)の対象者の申請期限は2021年3月31日まで延長されることが公表されました。

2021年3月26日、さらに2021年5月31日までの延長が公表されました2021年3月26日11時50分・追記

疎明書とは

この延長された期限の対象者であることを申告するために必要なのが、疎明書です。

疎明書

疎明書が必要だと説明されているか

申請には以下の書類が必要なことは『休業支援金・給付金の申請方法について』(中小企業の労働者向け)のページで明記されています。​

・支給申請書
・支給要件確認書
・本人確認書類
・振込先口座を確認できる書類
・休業前の賃金額と休業中の賃金の支払い状況を確認できる書類
・令和2年4月~9月の休業について申請する場合は、令和2年10月30日公表のリーフレットの対象となる旨の疎明書及び過去の就業実態が確認できる給与明細等
・代理人等が提出する場合は、同意書
(筆者注:上にあげた書類は労働者本人の申請で初回の場合のものです)

郵送申請であればこのようなリストを確認し正しく同封できるでしょう。

オンライン申請でなぜ添付不足が起こるのか

申請画面は次のようになっています。ひと月単位で入力する仕様です。参考画像は2021年1月の申請画面ですが、フォームの構成は2020年4月〜9月分と変わりません。

入力画面

疎明書をアップロードするフォームがありません。また、2020年4月〜9月の申請画面であっても、疎明書の提出を促す注意書きなども表示されていません。

申請画面の流れの通りに書類のアップロードを進め申請をすませると疎明書だけが申請書類に含まれないということが起こります。

疎明書の提出方法とその周知方法

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金コールセンターで確認すると、本人確認書類と同じフォームでアップロードするように案内されます(2021年3月15日時点)。

オンライン申請については「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金 Q&A(オンライン申請編)」(PDF)を参照するようWebサイトに記載がありますが、このQ&Aに疎明書のアップロードについての言及はありません。

つまり、申請以前に疎明書をアップロードするフォームがないとコールセンターに質問しない限りは、提出方法を知ることができないのです。

常識的に考えて、画面上で要求されていない書類の提出方法を申請前に問い合わせるのは不可能です。申請者には申請の作業フローの全てが明かされているわけではないため、なにをもって申請者側の作業が終了となるのかもわかりません。このあとどこかで疎明書をアップロードする画面があるのだろうと考えたまま、申請終了までいってしまいます。これは画面設計の欠陥であり、当該制度における周知不足です。

疎明書の未添付への対応

疎明書を添付せずに2020年4月〜9月の休業の給付を申請した場合、コールセンターの回答では「差し戻しになる」でした(2021年3月15日時点)。差し戻された申請は添付書類などを修正して再申請できるとされています。

問題は、疎明書がないことで2021年5月31日の延長期限対象者とみなされず、「期限切れ」とされる場合があるのではないかということです(2021年3月26日11時50分・「2021年3月31日」を2021年5月31日」に修正)。

Twitter で「オンライン 疎明書」と検索してみると、疎明書を用意したにもかかわらずアップロードする場所がなかったために添付できず「期限切れ」と決定され、一度審査結果が決定したために再審査もできないというかたがおられました。

わたしはそのツイートをみて、そのようなかたがまだいるのではないかと思い、この記事を書いています。

前述のQ&Aでは、

②-1 オンライン申請の内容に記入漏れや添付書類の不足などの不備があった場合はどうなりますか。
→ 担当の労働局からマイページに申請の差し戻しを行います。①マイページから、差し戻し対象の申請情報確認画面にアクセスし、②申請情報確認画面から差し戻し理由を確認のうえ「再申請する」を選択し、③支給申請書作成画面にて修正を行い、再申請をお願いいたします。
差し戻された申請は、当初申請した時の添付書類が既に添付されている状態で差し戻されますので、必要に応じて、添付書類の差し替えや追加をお願いいたします。
なお、差し戻しを行う場合、オンライン申請サイトより、ログイン ID として登録したメールアドレス宛に通知メールを送付しますが、オンライン申請サイトから送付されるメール本文には、ホームページのアドレスやリンクはありません。本文にホームページのアドレスやリンクがある場合は詐欺の可能性がありますので、ご注意ください。
②-2 必要な添付書類を添付せずに申請してしまいました。
→ 添付書類に不足がある等の場合には差し戻しになりますので、添付の上で再申請をお願いします(再申請の方法は②-1参照)。

となっています。

疎明書の添付不足も差し戻しであるべきで、それをもって「期限切れ」とすることは制度の正しい運用ではないのがわかります。

疎明書を添付できなかった場合はどうしたらよいか

2021年3月16日11時07分・追記

審査側の判断を待たずに自分から差し戻しを依頼できます。

1. 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金コールセンター(TEL・0120-221-276)に電話し、事業所の都道府県から担当の処理センターの電話番号を教えてもらいます。
2. 処理センターに電話をかけ、書類不備の自己申告で申請の差し戻しを依頼します。
3. 早ければ数十分ほどで差し戻されるので、疎明書を追加した上で再申請します。

厚生労働省に求めること

オンライン申請時の疎明書の添付不足は申請画面の設計の問題であり、その正しい提出方法について申請前に確認できるページ、Q&A、申請画面上になんの案内・注意喚起もないことから、行政側の過失であると思います。

もし、ほんとうに疎明書の添付不足を理由に「期限切れ」の決定を下していた場合は、ただちに「差し戻し」とあらため、疎明書が添付された再申請を受け付けるべきだと思います。

また、この問題についての周知を行い、今からでも目立つように「疎明書のアップロードは本人確認書類といっしょに行う」とQ&Aや申請画面に表記してほしいです。

あとがき

どうかこの問題に関心を持っていただけるとありがたいです。この制度の対象者は他の労働者が給与補償や休業手当を受けるなか対象外であるとして、行政にも所属企業にも見捨てられていたひとたちです。このような申請方法の欠陥と不案内で、ほかの方々と同様の補償を受ける権利を失うのはおかしく思います。

ここまでお読み頂きまして、ありがとうございました。


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