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【400字小説】Like a Virgin

「夕日がきれいだね」って告白したつもりが、あなたは漱石も知らないから、「おっきいねえ」って呑気に返したんだ。それどころか「あそこで誰か待ってる人、鎮座DOPENESSじゃない?」ってあり得ないことを言う。逆光で顔を確認できない。

『レザボア・ドッグス』を見に行く。デートには不向きかはあなたが決めてくれていい。ボクの大好きな映画だから気に入ってくれるといいなと思うなんて、涅槃にはほど遠い。新宿駅南口の信号を渡るのは一苦労で、まっすぐに進むことすら困難。ビルの向こうの夕日が沈んでいくのを見守るしか術はない。

恋の行方もコントロールできない。鈍感なあなたが好きだと直接言うしか、気持ちは伝わらないだろう。

映画を見た後、「わたし、すぐにイヌが誰だかわかっちゃった」と言った。「それじゃあ、つまらなかったでしょう」と返した。ふふふとあなたは笑うから失礼ながら、不吉に感じた。もしかしたら、鈍感なのはこっちかもしれない。

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