【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「Let Love Rule」レニー・クラヴィッツ

小学6年のハコの部屋でウクレレライブを敢行する父のオニは血も涙もなかった。「宿題したい」とハコが言うのに「子どもらしくない」と言い放つ。かと言って部屋から追い出すわけではなくて視聴を強要、インスタで生放送。20人ほどの人が見に来る本棚の上に置かれたぬいぐるみ6体も観客。ハコは体育座り、映り込まないようにスマートフォンの後ろで見守り、間接照明の光をオニに向けて持たされる。演奏時間はハコには長くて苦痛。

オリジナル曲は一曲もない。選曲もダサかった。特にシャウトしながら陶酔する様子はイタイ。当然、歌詞の意味もわからないハコだが、父が恥ずかしかった。なのに最後はジョン・レノンの『Happy Xmas (War Is Over)』のコーラスにまで参加させられて、季節外れも甚だしい。羞恥心に苛まれて泣いた。するとオニが感動したと勘違いして号泣。「戦争反対だよな！」と頓珍漢なことを言い出すので、失格の烙印をハコは脳裏にそっと焼き付けた。

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