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【400字小説】決まり手は上手投げ

誰もいないはずの駅に一人、ベンチで座ってたら、
向こう側のホームに変な女が立っていた。
鼻の穴の両方にキュウリをぶっ込んでいる長い髪の女。
片手によれよれのレジ袋。
よ~く見るとフライドポテトだった。
多分、冷凍庫から出してきたばかりの。
もう片方の手には開封されていない味噌を。

わたしは彼女と酒を酌み交わしたいと思い、叫んだ。

「おネエさん、奢るから酒でも飲んで、
嫌なこと忘れちゃおうぜ」

すると「鼻の穴にミッキーマウス突っ込んでやろうか!」と
シャウトしたので性的に興奮。
女は風呂に長いこと入っていないはず。
その体の垢を落として赤いフェラーリのように、
ピカピカにしてあげたい。
わたしの方が変なヤツだな。

すると「おい、この犬小屋野郎」と
女はきゅうりをシュルシュルと
きれいな回転で投げてきた。
まるで父親が5歳の息子に投げるようなやさしさを
-0.2秒でわたしは感知。
でも、それはきゅうりの色をした
ナイフで、額にぶっ刺さった。

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