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【400字小説】お化け屋敷はファンシ~ワールド

ケイくんと入ったお化け屋敷。真っ暗闇だったホラー世界を出たと思ったら、うさぎみたいなかわいらしい動物(?)の波がなだれて来て、生き埋めに。息苦しくて、このまま死ぬのかなって、ちょっと安易に思ったよ。ケイくんとなら幸せに死ねる気がした、覚悟した。

なのに、今度は一斉にピヨピヨと動物(?)が鳴いて、散っていった。紛れもなく、そこは現実世界で、どうやらわたしは気を失っていたらしい。「大丈夫?」と地べたに膝をついて、わたしを抱き締めていてくれたケイくん、やさしい。「大丈夫じゃねぇよ!」と毒づいたのは心の中でだけで、めまいが止まらなかった。

お化け屋敷を出た途端、倒れたのか、わたし。視界がぼんやりとしているが、野次馬がちらほらいるのがわかった。間違いなく動物(?)を見た気がしたのだけどって、上半身を正しく起こしたら、ケイくんの顔が動物(?)で、わたしは思わず悲鳴を上げた。こんにちは、狂人の世界って感じ。

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