【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「No Surprises」レディオヘッド
「マキコちゃんがレディオヘッド好きだって言うから聴いてみたけれど、さっぱりわかんなくてさあ」
太一は洋楽を聴かない。
「別に無理して好きになろうとしなくていいんじゃね?」
要次は淡々と返す。人の恋愛には興味がないタイプ。コーヒーが苦くて顔もしかめない。続けて言う。
「恋なんてめんどいだけじゃんかよ。俺は静かに暮らせればそれでいい」
「マキコちゃん、かわいいと思わない?」
「そうだな、めんこいなあとは思うけど、それ以上でも以下でもない」
「誰かを好きになったことはないわけ?」
「あるさ」
コーヒーカップを置いてため息を吐く要次。
「アレだ、勇気出したり、胸が苦しくなったりはごめんなんだよ」
「それが醍醐味じゃん」
「それが厄介なんじゃん」
「好きな人と体重ねたら素敵だよ」
「そんなのは風俗に行けば足りる」
太一はその発言に呆れた。でも「俺はレディオヘッド好きなんだよね」と言うので、マキコを横取りされるのではと心底焦った。
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