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【400字小説】精神科病棟に入院したきみ

好きだったよ、繊細なきみが。だから、わたしは入院したって聞いた直後に、駆け足で見舞いに行った。「やあ」でも「こんにちは」でもなく、「ダウンしちゃった」と第一声に、きみが笑った。弱々しくて泣いてしまった。「どうしたの?」って、頭をよしよししてくれたきみ、逆じゃん。

面会所の窓ガラスの越しに見える中庭が爽やかで、様々な人が笑い合っていた。ほがらかに活気があって、でも全員病んでいるんだなって偏見のある自分が嫌いだと思ったら、次は悔し涙に変わった。

「退屈で仕方なくてさ、来てくれてありがたいよ」

それでわたしはきみにとっての《退屈しのぎ》でしかないことを痛感。できれば、わたしも入院して、それで太陽の光をふたりで浴びたい。「唐突にさ、入院している女の子に『セックスしてください』って言われたんよ」ってきみも唐突に。なんだか急に冷めて、好きって気持ちが光に溶ける。セックスしたかったという気持ちも透明に昇華。

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