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【400字小説】ミステリー・ラブ・ファンタスティック

鬱になって3ヶ月、家を出ていない。毎晩あの人が夢に出てくる。結婚したかった、あの人と。職場の同僚だった、でも、結婚して退職するんだ。ついでにオメデタだそうで。

それを小耳に挟んでから出社していない。今夜はあの人の送別会だった。その模様の写真が同僚から送られて来て、あの人が花束を抱いて、顔が涙で化粧崩れしているのに、泣き笑っているのが、美しかった。別れは一人一人にハグしてサヨナラしたそう。だったら送別会だけでも行けば良かったなって後悔先に立たず。ふてくされて寝る。

翌朝になった、躁だった。気づいたら会社に向かっていたほど。退職願を3週間前に出したのも忘れて。ボクがあの人を好きだったことは同僚みんなが知っている。恥ずかしくて、躁でなけりゃ、やっていけない。電車に飛び乗る。気づいたら満員の車内で奇声を上げてた。ぎゅうぎゅうだったのに、ボクのまわりだけミステリーサークルが出来て、恋は宇宙だなって感じた。

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