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【400字小説】集中力は30分

夕食前に素振りをするのが日課で、
去年もドラフト会議に俺の名前は
呼ばれるわけなかった。
大学まで野球を本気でやって、
一度もレギュラーになれなかった。

生涯打率1割5分。
ホームラン1本だけというのが誇りだ。
大谷翔平には興味がない!
それは嘘でそんなふりをしている。
嫉妬で今にもバットをへし折ってしまいそうだ。

自慢できることはひとつ。
俺は社会人5年目になっても
野球を辞めていないし(お遊びの草野球だが)、
野球を始めてから一日たりとも
素振りを休んだ日はない。
50スイングと数は少ないけれど質は素晴らしい。
リアリティの極みで完全な試合と
遜色のない想像力で素振りに打ち込める。

素振りでの生涯打率は
9割を余裕で越える。
あのステフィン・カリー(NBAのスーパースター)の
フリースロー成功率よりも良い。
でも、試合でそのスイングができないんじゃ意味がない。
だから俺は草野球でもベンチウォーマー。
ってなんでバスケを引き合いに。

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