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cassetteboy
【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「Semi-Charmed Life」Third Eye Blind
「グッドバイって言ったのに」とサゲルは言葉を詰まらせる。泣くのを堪えているよう。大通りの歩道で立ち尽くしてママダが何か発するのを期待していた。多くの車が通りを走り去っていく。当然、ふたりに何が起きているのか知らずに。知ったところでよくある恋煩い。
ようやくママダが「あなたはさよならを言っていないでしょう。それを聞くまで、わたしはいなくならないよ」と話を前進させる。サゲルはそれを聞いて安心したのか納得したのか、彼自身にも把握できていない。それで「じゃあ、」と彼が言った時、一台の車が止まって、助手席の窓が開いた。そして、運転手が身を乗り出して言ったのだ。
「何かを得るためには何かを失う」
にっこり笑って行ってしまう。するとサゲルが大粒の涙を流し始めるのだった。よく言われる格言だっていうのに! ママダは呆れて「いつまで経っても世間知らずの坊やなのね」とサゲルを抱き寄せ、猫に見つめられる気分になった。
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