【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「夜に駆ける」YOASOBI

カーステレオから流れる曲を聴きながらヨミは言う、赤信号。

「ヨアソビ、『夜に駆ける』が素晴らしすぎたから、そこで止まっちゃってる」

それでもYOASOBIのアルバムをヨミは全部購入したし、DVDだって持ってる。ライブには行っていない。なんとなく怖くて。

「彼氏に誕生日プレゼントもらって、嬉しいんだけど、開けるのがもったいないっていうか、怯むっていうか。あの気持ちに似ている」

ヨミの例え話はわかりづらい。それを聞いていたリは「ふうん」と頷くだけで。

「あ、キング・ヌーも『白日』で終わってる。アルバムをCDで買ったりはしてるけど」

それが聞き捨てならなかったのか、リは少し憤慨して強めに言った。

「King GnuもYOASOBIも止まってないし、終わってない！　ヨミが立ち尽くしてるだけ！」

すると後ろからクラクションを鳴らされる。信号は青に変わっていた。「うっせえわ」ヨミのそのつぶやきの矛先は、どこに向けられたのか、彼女すらも知らない。

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