見出し画像

ONTEというライブ



ONTEというライブがあります。
「オント」と読みます。

太田プロの若手6組で、コントをお互いに書き下ろして披露し、その感想を語り合うというライブです。
「太田プロのコント」ということで縮めてオント、スタイリッシュにONTE、そんな感じでみんなで話し合って決めました。

昨年の秋ごろから「こんなライブがやれたら良いな」となにとなく思いたち、ひと組ひと組、1人1人に思いを伝え、賛同を得てスタートに踏み切りました(厳密には個人レベルで伝えられてない人もいたかもしれません、福田とか)。


激しく手前味噌ながら、めっちゃ良いライブなのです。


ひと組ひと組が魅力的でかつ、そして大変に見応えのあるライブだと、出演者みんながイキイキと自負しているような、そんな覇気があります。

ちょっとでも多くの方に知ってもらうきっかけになればと思い、ONTEがどのようにして立ち上がったのか、どんなメンバーが揃っているのか、こちらのnoteで紹介したいと思います。

onteはnoteのアナグラムになっている。
だからなんなんだ、「だからなんなんだ」ではあるが、強いて言うなら縁起が良い。参ります。


他人にネタを書く

昨年の5月頃、立て続けに他のコンビのためにコントを書き下ろす機会をもらいました。

始めに、ロングアイランドが人に書いてもらったネタを披露するというライブで、コントを書かせてもらいました。人のためにコントを書くのはほぼほぼ初めての経験でした。


自分たちじゃ出来ないけどどこかで使えないかなと思った設定が、2人なら当てはまるんじゃないかと思って提出させてもらいました。
「パンダポルノ」という、ちょっとアレな、ちょっとだけセクシーなネタです。
「あんまこんなセクシーなネタをあれか、人様に渡すのもアレか、でもまあ、こんな機会ないしな」と思って放り投げたのですが、存外にウケも良く、2人もイキイキと、喜んでやってくれたのでした。

この時くらいイキイキと


本当に手応えがあったようで「2回戦とかにぶつけるわ!」と言ってくれたのですが、儚くも1回戦で散ってしまいました。無念。
ただ間違いなく僕にとって、人にネタを作ることへの手応えを感じた機会になったのでした。



そこから程なくして、モシモシが3人の芸人からネタを書き下ろしてもらうライブがありました。金の国桃沢と、青色1号上村という光栄な並びに混ぜていただき、ネタを作らせてもらいました。

まぐろを軸にした設定で、どこかおバカなコントになれば良いなと、苦戦しながらもなんとか書ききりました。

当日ライブに呼んでもらい、ネタをやってる様も見せてもらいました。
蓋を開けてみると、抑揚をなくしたしゃべり方でたっぷり間を使って掛け合う、なんだか前衛的な演劇(全然違ったらすみません)のようなコントが繰り広げられていたのでした。
本当は、前半でしっかり演技をしてもらいつつも、最終的にはバカバカしく叫び合うようなコントをイメージして作ったのですが、結果的にはシュールと形容せざるを得ない不思議な5分間、なんとも変なウケ方をさせてしまいました(本人たちはめちゃめちゃ楽しんでやっていたし満足してました、本当です、信じてください)。

僕は普段の台本から、「!」とか「?」を多用しない癖があり、かつ動きを迷わせたくないなと事細かに立ち位置をト書きで添えたのですが、そうした堅苦しい台本からアバンギャルドなイメージが立ち上がってしまったとのことでした。

記号を使わないのは、ただ単になんかかっこいいからそうしていただけだったので、以降はなるたけ過不足なく伝わるように、必要な時はいっぱいびっくりマークを付けるようになりました。このライブのおかげです。


ONTEの始まり

どちらのライブでも、その人のことを思って当て書くというのは、普段イメージしないキャラクターとか設定にまで思いを馳せることになり、大変勉強になりました。そして、普段のコンビでは活かしきれない設定とかセリフを活躍させてあげる機会にもなったのでした。
こりゃあ良いと、脳みそにシワが増えていくのを強く感じたのです。



そして、ネタを書いてもらった側のロングアイランドとモシモシ、そのどちらもが、大変にホクホクと勉強した顔をしていたのです。

人から貰った台本を、基本的にはその日限りで披露することになるので、誤解を恐れずに言うなら完全完璧にやり切れはしないのです。
普段使い慣れない言葉、掛け合い、舞台での動き、場合によっては音照の使い方、そういうのが必ず生まれてくるので、どうしてもやりづらい箇所が出てくる。見てても分かる、やりづらそうな箇所があるのです。
シンプルに演者と台本が噛み合っていないということもあるでしょうが、その実、その人が本来使えるけど使えていない筋肉を知るきっかけになっていると思うのです。なぜなら、そこそこにしっかり活動してきた書き手が、そこそこにしっかり演者ことを思いやって当て書きをしているわけですから。
きっとそこに演者の魅力が隠されていると思うのです。

…みたいなことをうだうだと、2組のライブから感じとったのでした。



シンプルに、めちゃめちゃ羨ましい!と思ったのです。羨ましすぎる。
こんな機会があったらきっとぐいぐい成長するに違いない、そう思ったのです。

ネタを書く学びを得て、ネタを書かれる学びも得る。一挙両得なライブがあっても良いんじゃないか、そこでぼんやりと感じたのでした。



それと並行するように、コントをやるようになり、いろんな人とお茶をしながらコントを相談させてもらう中で改めて感じていたことがあります。

「太田プロ若手のコント、かなりイケてるんじゃないか?」

ってことです。芸風的にものすごくかぶることなく、ちゃんとそれぞれの魅力でもってそれぞれに活躍している。他の事務所と比べだしたらそれはもう当たり前にキリがないのですが(吉本なんてそもそも比べるのがナンセンスなくらい数が違うし、ワタナベにはナベンジャーズというお化けユニットもある、その他の事務所にもたくさん猛者はいる)、ただ単に、シンプルに、身近なメンバーが心から誇らしい、もっと知られるべき、そう強く感じていたのでした。

太田プロをレペゼンしてこの魅力を伝えたい、そういう思いが立ち上がったのです(そして後に漫才工房長に目をつけられる「コント帝国」発言に繋がるわけです)。


並行した2つの思い、「学び」と「太田プロ若手のコント」。これを掛け合わせたいということで立ち上がりました。これがONTEの始まりです。



ONTEには魅力的なメンバーが揃っていると思います。
まだあまり馴染みのない方に対して少しでもイメージの足しになればと、よく見知ってくれている方には少しでもワクワクを加速できればと、そんな思いで申し訳程度に出演者を紹介していきます。

メンバー紹介① 青色1号

カミムラ 榎本 仮屋

あくまで日常的な設定、大風呂敷を広げない、ありそうなやり取りから引き込まれていくコントを得意としているトリオです。
スーツ、学生服、シンプルに揃えて派手な演出を加えない、それがひたすらにかっこいいのです。

ネタの書き手であるカミムラ(上ちゃん)は学生時代にバナナマンさんを敬愛し、若手のネタとかSNSとかに無頓着なのもかっこいいポイントです。
張り付いた明るさを振り回す、サイコなtiktokダンサー榎本、実はネタも作れるしギャグもモノボケもやる、ただどうしてもギャンブルをしてしまう、お笑いバランサー仮屋、魅力的な3人です。

第1回・第2回ONTEにて、上ちゃんが提供したネタが激しく最下位に沈むという憂き目に遭ってしまいました。
日常に潜む面白さを切り取る上ちゃんが、他のコンビの活かし方に苦戦する(決して間違ったネタを作ってたとは思いません、あくまで表面的に)様は、このライブならではだなとしみじみ思ったのでした。

暴れん坊のカミムラが最下位みたいになり、ガハハざまあみろと、指差して笑う時間も良い時間だと思うし、同時に順位なんて心底どうでも良いとも思います。何かポジティブな学びを得る、そんな機会になってたら良いなと思っています。

メンバー紹介② サルベース

松山 折田 ともやっぷ

NARUTOのロック・リーを思わせるような、愚直なまでに真っ直ぐにフリとオチをぶん回すトリオです。忍術は得意じゃない、ひたすらに体術を極める、そんな潔さとかっこよさと愛らしさを放っています。

声じゃみじゃみ髭真面目、折田がネタ作りを担当しています。
明るいギャガー、ギャガーゆえの真面目さ、几帳面さを兼ね備えるともやっぷ、朴訥平和人間松山によるトリオです。
松山のことは正直ベラベラ語れるほどは僕も知らないのですが、去年のキングオブコントの季節、暑い帰り道で2人きりになった際、「今日のさすらいのネタ、いけると思う、思い切りやってきて欲しい」と漏らしてくれたことがありました。底知れぬ熱さとガッツを秘めています、たぶん。


その、あまりにもまっすぐにツッコミぶん回すスタイルを人にも当てはめていくことから、「折田が書くネタには必ず折田が登場する」「誰かが折田役を引き受けないといけない」と揶揄されています。
「無駄な言葉が多すぎる」「要らない影マイクを使う場面がある」など、台本上の不備を指摘されることが多く、感想戦にて何度も爆笑を生んでいます。そうした書き手としての不器用さが、かえって普段から爆笑を生み出すサルベースの凄さを際立たせることにもなっているのです。なんでこんなに無駄の多いやり取りであんなウケ取れるんだ、と。折田自身の学びにもなるし、その他のメンバーの学びにもなるのです。

メンバー紹介③ モシモシ

まぐろ いけ あき

僕と大学時代からの付き合いがあるトリオです。紆余曲折、本当に紆余曲折あって今太田プロで一緒にやっているので、実に感慨深いです。

早稲田大学お笑い工房LUDOの出身で、3人ともネタを作れるという強みがあります。ONTEについては基本的にあきちゃんが書き手の役割を担っています。
群青団地にあてた「メイク探偵部」は名作の一つです。こういうライブじゃないと生まれない、賞レースとか関係なく、どこか社会的意義があるのでは、とさえ思わされるネタなのです。


3人ともコミカルな表現力の幅を持っています。ネタによって雰囲気も変わりますが、ともかく動きと声と顔で表現する「バカ」の扱いがともかく素晴らしいトリオだと思っています。少年誌ほど吹っ切ってない、青年誌ほど冷めてもない、ともかくちょうど良い温度のギャグ漫画のようだな、と思っています。めちゃめちゃバカだから面白い、めちゃめちゃ良いドラマ過ぎて面白い、まぐろの泣き顔面白い、池ちゃんのステップ面白い、みたいな、根源的な面白さを力強く出せるトリオです。

特筆すべきは、池ちゃんが毎回、このライブ終わりに打ち上げに来てくれるのです。
絶対に打ち上げに来ないということで僕らの間であまりにも馴染んでいる、そんな池ちゃんが、なんと打ち上げに来てくれるのです。
これをいかにして他所様に伝えるかが本当に考えものなんですが、これはあり得ないことなのです。
「仲間内でやってるライブなんだからそら来るだろ」と思われてしまうかもしれないのですが、そう思うあなたはきっとそこそこ明るい方なんです。世の中には、どうやっても絶対に打ち上げに参加しない人がいるんです。そんな池ちゃんが、打ち上げに参加してくれるのです。
他人への説得力にこそ欠けますが、演者側からするとこれこそが、ONTEが素晴らしいライブである証左の一つなわけです。

メンバー紹介④ ハマノとヘンミ

逸見(ヘンミ)  濱野(ハマノ)

昨年のUNDER5にて決勝に進み、名前を売ってくれました。まだまだまだまだ活躍できるコンビだと思います。面白いです。あえて真っ直ぐ言いますが、僕が大好きなコンビです。

まず設定が面白いことが多い。人とは違う設定をしている、でもなんというか「大発明だ!」という押し付けがましさもない。さりげなく面白いことをしている。それがすごいし、かっこいいのです。

濱野がネタを書き、演出しているわけですが、逸見がともかく演技派なのです。くさくない、ともかく自然で、それでいて演劇チックなわけでもない、ドラマ風でもない、あくまでコントの範疇で素晴らしい演技をしているのです。
掛け合いにもクセがあります。微妙に引っかかる言い回しをしてくる、それでいて当てにきてるいやらしさも少ない。なんか面白い、妙な間でなんか面白い言葉を放り込んでくる。

言うなればクセ者です。
バスケのたとえで恐縮ですが、というか理解させるのを半ば放棄しますが、ジノビリのようなプレイヤーです。
「ものすごいスピードがある感じじゃないけどなんかすり抜けて点取られる」みたいな、「ここでスリー放り込んでくんのかい」みたいな、ワクワク感があります。そして下品じゃない。不思議な存在です。

濱野は極度の緊張しいで、舞台上で弾け回るタイプではありません。そして2人で録っているラジオなどにおいてはともかく逸見には当たりが強い。清々しいまでの内弁慶なのです。
でもそれはもうみんなだいたい分かってて、さあ濱野、その嫌な部分を舞台上でちらりと滲ませてくれと躍起になるのです。

濱野がサルベースへのネタ書きを担当する回、逸見から「折田さんが、なんか普段はやれないキャラとか、音響とか、そういうコントがやれたら良いなあって言ってたよ」というのを聞き、一言「…知らねえよ」と言い捨てたという、みんなが大好きなエピソードがあります。
ネタが面白い!あと人もたぶん面白い!逸見は天性の人たらし!恐れ多い話ですが、ハマノとヘンミのコントをみんなに見てもらうきっかけにもなって欲しい、そんな思いでONTEをやってる部分もあるのです。

メンバー紹介⑤ 群青団地

横 福田

ONTEメンバーの中で最も芸歴が若いです。1年目、2年目のうちから破竹の勢いで事務所ライブを勝ち上がってきました。爽やかで可愛らしいことも相まって「きっと痛々しいに決まってる、友達を100人ぐらいライブに呼んでるに違いない」と決めつけたものです。

すぐに誤解は解けて、良いネタを作りたい、ウケたい、そしてコントが好きな、真っ直ぐ熱いものを持っている2人なんだと分かりました。ネタを作る横と、ただひたすらについていく福田、同級生コンビとしての絆もあります(たぶん)。

横がハマノとヘンミに送った「パイロット」は名作の一つとして挙げられています。「濱野ってこんな面白い見た目してたのか」「逸見はこんな演技もできるのか」「良い導入と展開だ」などと、みんなを唸らせました。
あまりの出来の良さから、「横はもうプレイヤーを退いて、作家に集中した方が良い」となじられるほどでした。ここの手応えがそのまま群青団地にも反映される、そんなサイクルが理想です。


群青団地はそのルックスの良さから女装コントも得意としています。僕らもよく女装に頼るのであまり言えないのですが、「女装とか見た目の良さに頼り過ぎていつか限界が来るのでは」という類の心配もありました。僕個人としては、綺麗に見えるというのはそれすなわち特性の一つであるし、「実際の男女でやりゃ良いじゃん」みたいな単純な話でもないので、活かせるものは活かしたら良いと思うのですが、とはいえ切実な問題かもしれません。

しかしながら横には高木軍団という、ストレッチーズ高木、センチネル大誠という頼もしい男臭兄貴がバックについていますから、なんの心配もしていません。しゃばくなりそうなら兄貴2人がストップをかけてくれるのです。

ちゃんと面白いと思う設定を考え、作り出し、
雰囲気でも笑えるような状況を繊細に作り上げようという、かえってガッツのあるコンビだと思っています。芯があって頼もしい後輩です。
あと福田が何気に演技派なことも最近知りました。

メンバー紹介⑥ さすらいラビー

宇野 中田

みんなのことを取り上げて自分たちに触れないわけにはいかないと思い、一応述べておきます。
「コント帝国を作ろうとしている」という言葉を取り上げられてしまい、主に漫才工房の間で一気にきな臭い空気を醸してしまいました。
「コント帝国」は、コントを楽しみ、頑張る、そして太田プロに錦を飾るという、覚悟の発言なのです(漫才は漫才で別の覚悟がありますから、甘っちょろいと思われようがそれはここでは述べません)。

コントをしっかりやるようになってまだ3年や4年で大それたことは言えませんが(言い訳をしたくもある)、あんまり人と被らない、雰囲気とかドラマを感じるネタを作れると思っています。そうでありたい。
人のいやらしくてねっちょりした部分、反対に、なんだか他人に優しくしたい春先の公園とか、そういう好きな範囲を余すとこなくネタにできたら幸せだなと思います。



次回

「ONTE vol.4」は6/4(火)、すぐそこに迫っています。是非とも来ていただきたい。

http://tiget.net/events/318089

この一回でどうこうということはなく、これはみんなでうねりを上げるまで続いていくプロジェクトなのですが、何はともあれ少しでも多くの人に見て欲しい、それに尽きます。

「なんで人の学びを見なきゃいけないんだ」みたいなこともあるかもしれません。でも騙されたと思って見てみて欲しい、ネタの奥深さみたいなものを一緒に感じ取る喜びがそこにはあるのです。図らずも騙したらすみません!

西新宿ナルゲキにてお待ちしております!


あなたの素敵サポートが、僕を素敵クリエイティブにします。