あ終

涼しくなった。雨が少々ぱらつくが関係ない。心より喜ばしい。

もうこれ以降、蒸し蒸しした寝苦しさと、こそこそと喉に圧力を掛ける空調の板挟みに悩むこともない。気温の下がる夜に、きちんと布団を掛けて寝る。とても幸せで、人間的喜びを感じる行為である。裸で過ごせてしまうような異常な暑さの中で、辛うじて残る社会性が布をまとわせるだけの季節に、趣きもクソもあるはずがない。ようやく人間らしい季節がやってくる。1年後には、猛暑を人間的に過ごすことができるような革命的イノベーションが起きていることを強く望む。もっとわがままを言うならば、夏を無くしてくれたって良い。あなたが無くさないで欲しいと文句を垂れる夏の風情の大部分は、今みたくアホほど暑くなくなって全然楽しめる。人がぶっ倒れうる暑さに必要性なんてない。勘弁して欲しい。


涼しくなれば、散歩ができる。無様にも空気を張り詰めさせたライブの帰り道、気が済むまで延々と歩くことができる。どうしても誰とも接したくない、玄関のドアを潜りたくない時に、真夜中が始まるまで猫のいる公園で物思いに耽ることもできる。涼しければ、過処分時間はぐーーんと増え、頭も冴え渡る。よくもまあ頭が半分気絶しているような期間を2ヶ月も3ヶ月も耐え抜けたものだ。素晴らしい。ご褒美に、クールで健やかな季節をみんなで享受する。

歩みが力強い。涼しい。秋、冬、春と、ようやくシーズンが始まる。スキップを踏む。まあ実際には踏まずとも、音符を撒き散らしながらリズムよくとんとんと歩く。空気の優しさが肌身に染みる。
もっと空気が冷たく刺してくれたっていい。セーターに頭をくぐらせる日が楽しみで仕方ない。オシャレについてはからっきしだけれども、ともかくあの優しく柔らかな生地の感触を味わいたい。静電気に怯える自分もまた愛おしい。



熱い大一番をひとまず終えた。終わりとともに秋が来た。
さんざフガフガ漏らしてきたけれども結果は果たして、来週の発表を待たれよ。戦いの詳細レポはまた1週間後に。すごく楽しくてヒリヒリする2日間だった。果たして。

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