見出し画像

キムタクであそぼう2

LOST JUDGEMENT:裁かれざる記憶
前作『JUDGE EYES:死神の遺言』の続編であり、龍が如くシリーズと世界観を共有するスピンオフ作品です。歌舞伎町をモチーフにした架空の繁華街”神室町”を舞台に、極道とそれを取り巻く闇、影の世界で生きる者たちを描いているのが如くシリーズです。
キムタクが如くという愛称?はJUDGE EYES・LOST JUDGEMENTの主人公【八神 隆之】のモデルが木村拓哉であることが原因です。如くシリーズは実在する人物を3Dモデルで再現し、劇中のキャラモデルとして採用しています。もちろん実名とは異なる役名ですが、シリーズ通して恒例となり3DCGの際限度もどんどん良くなっています。
そんなキムタクが如く2作目の感想をつづっていきます。


すべてがキムタクになる

主人公 八神隆之はキムタクです
何を言っているのかと思われるかもしれませんが、キムタクであることを隠そうともしておりません。隠すっていうと変ですが、キムタクが八神を名乗っている?ようなものです。これは別のキムタクの演技を見ればわかると思いますが、キムタクの演技ははすべからくキムタクの演技になるのです。これを逆手?にとったのか、キムタクをそのまま出しちゃえみたいなのが、このキムタクが如くの八神 隆之です。

ガールズバーで酔っぱらうキムタクの図


劇中ではキムタクじゃないのに「ちょ待てよ」を言わせたり、ガールズバーでふにゃふにゃに酔っぱらってみたり、暴走族と一緒になって青春を味わったりするキムタク…八神を見るのもこのシリーズの醍醐味になっています。

あんぱん食うだけでサマになるんだよな

また所謂「カッコイイ」のシンボルであるキムタクが演じることで、八神のカッコよさがグッとアップしているのも良いところです。やはり動かしているキャラがしっかりカッコイイのは良い…

キムタクを使うことの強み

八神は探偵で神室町に事務所を構えています。前作ではもともと弁護士だった八神が探偵になった経緯や因縁を解決するお話でした。弁護士ではできないことをするために探偵になったということも詳細に描かれます。
八神の探偵としてのモデルは探偵小説として著名なフィリップ・マーロウだなのでしょうか。探偵=ハードボイルドの図式を思い描くとしたら、フィリップだと思いますが、八神はそこまでハードボイルドではないと思います。何しろキムタクを使っているのですから、フィリップをモデルにしたらキムタクじゃなくなってしまうからですね。だからこそ敢えてキムタクのままの演技をしている(?)のかもしれません。

弁護士では救えない部分を明らかにしたい八神

もちろん探偵モノとしてのキモみたいのはちゃんと押さえてて、あえてクサいセリフを言ってみたりとかそういうシーンももちろんあります。これをキムタクがやるから画になるをうまく使っていたなと思います。

作中で八神はカンフーをベースとしたファイティングスタイルで敵と戦います。3つのカンフースタイルを切り替えながら流れるように戦う八神はめちゃかっこいいです。

あるカチコミシーン

キムタクならカンフーくらいやれるっしょ、みたいな思想が開発スタッフ内に流れていたと思いそうになるくらいにはキムタクをオモチャにしてるな~と思います。DLCでボクシング部に潜入する話があるのですが、ボクシングならキムタクやってそ~って思うし、けっこうアツいし別ゲーかな?ってなるくらいには凝っていたので良かったです。

キムタクであそぼう2

今作の舞台は、横浜の中華街をモチーフにした【横浜 異人町】。異人町は龍が如く7の舞台で、極道・チャイニーズマフィア・コリアンマフィアが三つ巴で戦争した場所でした。今作では既に戦争は終結しており、極道は解散しチャイニーズマフィア・コリアンマフィアが異人町を暗躍しています。
龍が如くシリーズでは、ステージとなる街を詳細に再現し、様々な遊びを楽しむことができます。ゲーセンではSEGAの往年の名作が遊べたり、SEGAのUFOキャッチャーで遊べます。またヤクザものらしく、麻雀・ポーカー・花札といったギャンブル(違法賭博)にも手を出すことができます。これらは収集要素であったり、育成アイテムの入手につながるのですが、キムタクがこれらを遊んでいるのが既に面白くてズルいですよね。

これは前作のワンシーン、ソープランドに潜入調査にいくキムタクですが、ずっと面白いシーンでした。まぁこのあと敵対している極道にボコボコにされるんでつらいシーンでもあるんですが。

あと如くシリーズ共通なのかはわかりませんが、神室町・異人町には奇人・狂人が多く生息しているようで、さまざまな奇行をせざるを得ないキムタクを見ることができます。

前作のパンティ教授を超えるような狂人が出てこなかったのが心残りですね…… パンティ教授を追うものは出てきましたが、やはりその猟奇性はまだまだといったところでした(?)

証拠品のパンティを掲げるキムタク
パンティ教授を追うもの

そのほかにも変態は多数出没しますが、比較的おとなしかった印象があります。如く7もなかなか濃いメンツ(変態)が多かったので、異人町つながりで出てきてほしかったですね。鋼の肉体マゾおじさんとか

サイドストーリーとして異人町の高校で潜入調査をすることになる八神ですが、高校には部活の外部調査員として潜入することになります。その部活の数8個、めちゃくちゃな数だと思いますが一晩(ゲーム内時間)で部活のシナリオをクリアできるものもあって、部活によって力の入れ方が違いすぎて笑いました。

暴走族と青春を謳歌するキムタク

部活といってもボクシング部や暴走族部(?)はもう学校の管轄じゃなくなってますが(笑)

結局ゲームとしてどーなの?

前作ジャッジアイズの続編としても、シナリオの完成度は高く、事件のトリックを暴いていくミステリーとしても満足度はすごくたかいです。今作では社会問題のひとつ「イジメ」をテーマにしていて、イジメ・自殺・復讐とひたすらに暗いです。物語終盤でイジメの主犯格に復讐した、被害者の父はきちんと裁かれますが、そこにたどり着くまで八神たちは基本的に劣勢・不利な状況でもがき苦しみます。終盤は警察まで敵になってしまってギリギリの綱渡りがずっと続きます。まるでペルソナ5の終盤みたいな……

シナリオ100点、でもバトルは…

シナリオが良くて、あとはアクションゲームとしてバトルが面白いと最高ですよね。
しかし残念ながら難易度ふつう以上で遊ぶと、バトルは基本的につらいです。これは前作も似たような感じでしたが、終盤にかけてはどんどんひどくなっていきます。7とジャッジアイズをプレイしてから、今作を遊んで感じたのですが、たぶん如くシリーズ通してこういったバランスなのだと思います。
まず敵の一撃が痛すぎる。装備という概念が薄く、よくてダメージカット1桁%とかなんですね。そして終盤の敵は基本武器持ちで、武器はガードを貫通します。ナイフ持ちの3連撃で平気でHPは半分くらい消し飛びます。武器持ち特攻の戦闘スタイルがあるので、それで対処すればよいかと思いきや、終盤は当然のごとく1対多を強いられるのでガードしてても別の敵がスタンガン・火炎放射・銃撃・釘バットでボコボコにしてきます。幸い?攻撃頻度が少ないので、1対1を意識した立ち回りをすれば、よほどボコボコにされることはないのですが、それはそれで爽快感がないんですよね。
次に敵のガードが堅すぎる。敵もガードしますが、チャージ攻撃でガードを崩せます。でもガード崩したあとの追撃時には敵のガードが間に合っちゃうんですよね。なんで? 基本的にガードは一撃が重い一閃スタイルのときにガードが崩せますが、一閃スタイルだと追撃が間に合わないようになっている?んですよね。どうやってゲームデザインしたんすか。連撃タイプの円舞スタイルはガードが崩せませんし、受け流しタイプの流スタイルもガードを崩せはしますが、追撃が弱くガードを差し込まれます。
結局、流スタイルで敵の攻撃をいなして、数発殴って反撃をよけるために距離をとって、また敵の攻撃をいなして…となんかいぶし銀の戦闘を強いられるんですよね。ボス戦は流スタイル固定みたいなもんで、いなして攻撃が基本になります。でもボスは発生数フレームの掴み攻撃をしてくるし、ボスのつかみ攻撃はガード不能でHPゲージ半分近く持っていくしでバランスはめちゃくちゃです。あと中ボスクラス以上にはこっちの掴み攻撃は避けられるし、基本不利なことが多すぎましたね。
せっかくカンフーをベースにした爽快感のありそうなバトルを醸し出してるのに、やってることはガン待ち受け流しペチペチ殴りの繰り返しなんですよ。

サブクエスト減りすぎ、ユースドラマだるすぎ問題

前作はサブクエストが多く、神室町の変態魑魅魍魎のエピソードがたくさん楽しめました。今作はサブクエストのくくりでは約10個程度しかなく、たぶん高校潜入調査(ユースドラマ)をサブクエストの枠に置いているような気がするんですよね。サブクエストも基本おつかいのものばかりで、せっかく探偵アクションとしてのピッキングや、ガジェットでの捜査ができるのにあまりにも薄味すぎて物足りなさが強かったです。

また前述のとおりユースドラマは高校の部活に潜入する話ですが、部活によってプレイにかかる労力の差が激しすぎました。とくにロボ部・暴走族・ボクシング部はハチャメチャに長いです。ロボ部と暴走族は、ロボ作成とバイクの購入費用がバカみたいに嵩むので、金策が必須です。1000万程度は手持ちに無いと何もできずにボコボコにされます。

ロボ部では、ユースドラマ外の試合をしないと手に入らない固有素材がシナリオ進行を邪魔します。ロボのパーツの作成も1パーツ10個近く要求され、強いパーツほど高級素材を要求してきます。もちろん街中で拾うのでは時間がいくらあっても足りず、店売りで揃えようとするならお金がかさんでいきます。ロボ部の試合もあんまりなもので、ロボを操って陣地取りを行なうのですが、陣地を繋げて敵本丸に到達すれば一撃勝利というメチャメチャなバランスです。もちろん制限時間いっぱい陣地を守り切る必要がなく、時間がかからないので良いと思いますが、より多くの陣地を持っていた方が勝ちというルールが崩壊しているような気がします。

暴走族はかわいいやつらばっかで良き

暴走族は妨害アリのめちゃくちゃレースで、雑魚を蹴散らしてボスと一騎討ちで勝つというルールです。最初から最後まで何も変わりません。敵の妨害のバリエーションが増えますが、それ以外は何も変わりません。自分は体当たりとターボ加速しかできないのも単調さを助長していたと思います。
ただボクシングはボクシングゲームとして成り立っていて、試合はいいバランスに保たれていたので、進めていて苦ではありませんでした。攻めて攻めて攻めまくって相手をK.O.するのはなかなかに爽快感がありました。

ボタン連打でクリアされるバーチャファイター部

一方でe-sports部と写真部はほぼ無に等しいです。2つ合わせても30分以内で終わります。せがた三四郎似のキャラを出したかっただけ!?

プレイの導線が悪い

これはどういうことかというと、例えば『暴走族のユースドラマ』で、
   『バイク整備場に入る』
→『整備画面』
→『レース選択』
→『レース前会話』
→『レース開催』
→『レース終了(+レース後のシナリオ)』
といった流れを経て、ローディング後『バイク整備場に入る前』に行ってしまうんですね。プレイヤーとしてはレースが終わってレース後のシナリオが終わったら『整備画面』に行ってほしいと思うんですよね。だってローディングも長いし、遊びの体験として『次の話が気になるから早く遊びたい』と考えますよね。そういう感情を無視した導線になっていて、これは暴走族だけじゃなくて、ほかの部活やサブクエストでも目立ちました。
まだメインシナリオでシナリオの流れで別の場所に移動して、操作可能になったらその移動した先から始まる、なら当然理解できるんですけどね。あまりにも遊んでいて気になってしまいました。この辺はプレイヤーの問題だと思いますが、そんなに変なことは言っていないと思うんですよね。どうでしょうか。。。

前作と比較した感想

前作はめちゃくちゃ面白かったし、終盤の怒涛の展開やバトルがアツかったです。今作は扱っている題材が『イジメ』『自殺』と非常に重く、明確な解決策を見いだせないものでした。確かに物語の中でも答えを示すことはされず(できず?)、不完全だからこそ成長していく必要があるという主張で終わりました。もちろんゲームに答えを求めるような題材ではないので、そこに物足りなさは感じませんでした。
前作が八神の過去の因縁を晴らし、その後ろにいた闇を倒すという王道ミステリーだったので、比較するとやっぱり物足りない部分が多かったです。物語のキーマンの行動もほぼ同じで単調さを感じたところもあります。そう考えるとやっぱりもっと調査パートであるとか、調査アクションを駆使したシーンがもっとあった方が印象に残りやすかったんじゃないかなと思います。

でもこういう社会風刺とまでいかないけど、現実の危うい部分にもちゃんとチクチクするところもヒリついてよかったよ。こういうところは現実に近い劇として、現実とリンクしてるからこそのヒリつきだなって思います。

やっぱちょっと真面目だったかな~って多々思います。
前作アレだけキムタクをイジってオモチャにしてたのにな~!って。龍が如く7もめちゃくちゃ良かっただけあって、ちょっと異人町に愛着があるし、7のキャラがちょろっと出たりして嬉しくもなったし。趙さんとかマジで一言も喋らなかったのは寂しすぎるんだよな。だんだん鉄爪がなんかいいやつみたいになっていったのは笑っちゃったよ。

次はDLCやろうか、7外伝をやろうか迷っています…

おわり


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?