見出し画像

閃き💡劇場⑱

「今日も忙しいなぁ」
そんなことを呟きながら目の前のパソコンとにらめっこしながら資料を作っている。
私の名前は岡崎尚子。二人の育ち盛りの息子を持つ母親だ。
夫と4人で都内のマンションで暮らしていて、二人の息子を育てながら仕事をしている。
育児だけでも大変なのに、家事もこなさなければならない。夫も仕事が忙しいのか帰りはいつも夜遅い。だから週末は部屋で寝てばかりだ。ゆっくり話をしたのはいつだろう?

そんな事を考えながら、仕事をしていると「岡崎さんもう時間じゃない?」と同僚が声をかけてきた
「あっ、ほんとだ!資料はできたけどコピー取ってないの」
「そのくらいならやっておくから早く帰りな」
と他の同僚
「ごめんなさいありがとう!お疲れ様です」私はそう言うと慌てて保育園へと向かう。

4歳と2歳の子供達は本当にワンパクで保育園でも元気いっぱいだという。
(今日の夕飯は何にしよう?作り置きのハンバーグとサラダにしようかな?それなら簡単だし)そんなことを考えつつ保育園に行くと、なんと夫が子供達を迎えに来たところだという。
「えっ?!早く終わるなんて聞いてないけど」
「念のためご主人に確認されたらいかがでしょう?」と園長先生が言うのでメッセージを送る
すると
「悪い、俺が連れて帰ってきたから安心していいよ」と返事が来た。
「良かった」とその場にいる皆で一安心し、帰宅した。
すると玄関が暗い。
「あれ?暗いけどどうしたの?」
と首をかしげていると
パーン
と音がした。そして電気がつく
「ママお誕生日おめでとう!」
「ええ?!」
私はビックリしてしまった。
「今日だっけ?」と夫に聞くと
「自分の誕生日忘れてどうする」
と頭を軽く小突かれる。
「いつも忙しいのに完璧に家事をこなしてくれてありがとう。今日は俺が全部やっとくから子供達と遊んでやれ」
「いいの?」
「そのために先週から仕事がんばったんだゆっくりしろ」
と夫はキッチンへと戻っていった
「ママーこっちこっち」2人の息子達がリビングへと私を引っ張る
「これ、プレゼント」
「あげるー」
2歳と4歳の息子がそれぞれ描いた私の似顔絵と手紙があった
それを読んでいて心が温かくなった
人を思いやれるようになったんだなぁと子供達の成長を喜んでいると、夫が食事ができたと声をかけられる
テーブルに向かうと私の好きなローストビーフとクリームシチューとサラダが並んでいた。
「すごい、これあなたが作ったの?」
「まぁな、お義母さんに聞いたんだ作り方、週末に教わったりもした」
「そこまでしてくれたの?!本当にありがとう」
私は感激して泣きそうになった
「とりあえず食べよう」
夫に促されて私は席に座って食事を食べた。
「美味しい!ちゃんと私の好きな味になってるよ!」
「それなら良かった」
夫は照れ臭そうに言った。

そして食事も終わり、お風呂に入る時間となる
「子供達をお風呂に入れないと」と言うと
「もう済ませた。子供って本当に大変だな、感謝するよ」
「本当に?!2人ともワンパクだから大変だったでしょう?本当にありがとう!」
「まぁとにかく風呂に入れ、ゆっくりしろ」
半ば強制的にお風呂へと向かわされた私はお風呂でもびっくりする

いい香りがすると思ったら湯船にバラの花びらとキャンドルが浮かんでいた。
(こんなおしゃれなことしてくれるなんてどうしたんだろう?)
私は疑問に思いつつゆっくりとお風呂を堪能した。

「お風呂びっくりしたんだけど、どうしたの?」
と風呂上がりに夫に話を聞くと
「料理を教わってた時にお義母さんとお義姉さんから聞いたんだ、独身のころいつもお風呂に風呂用のバラを浮かべたりして入ってたって。
結婚して一緒に暮らすようになってそんなことしてないだろ?だから久しぶりにゆっくりして欲しかったんだ」
と夫はこれまた照れ臭そうに言った
「ありがとう嬉しかったよ」
「職場でさ、俺たちと同じような家庭持ってる同僚が離婚するしないで揉めてて、話聞くと同僚が家事や育児に興味ないやつでさ、そりゃ当然だわと思ったんだけど、俺も人の事言えねーわと思って、こんな時しかできないけど、本当にいつも感謝してるありがとな」
と夫は私を抱きしめながらそう言った。すると子供達も私に抱きついて
「ママありがとう」
と呟いた。
私はとうとう泣き出した。今までの日々を思い返し、毎日戦場のような日々を送っていたが、夫も子供達も自分の事しか考えてないと思う事もあったがそれは全くの誤解だったと知り、嬉しかった。
「こちらこそありがとう、また明日から頑張れる」
私は夫の頬にキスをした
「お前なぁ」
と夫は照れ臭そうに横を向いた
その様子を私な満面の笑顔で見ていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?