世渡り
この世界は俺を殺す気だ。外部マイクを通じて流れるのはゴウゴウという水流の音。視界は暗く、見えるのはせいぜい数十m先。俺は10ノット以上で流されている。唯一の帰り道、あの緑に光るポータルから。
ルール1:ポータルを通れるのは人体および付属物。※大きさ制限あり。
ポータルによる異世界転移は意地悪な誰かさんのおかげか、人体および付属物、具体的にいうと服とか眼鏡とかだ、に限られ、無人探査ができない。そこで人類はこのイケてる気密パワードスーツを服ということにした。
ルール2:ポータルには数列で転移先を設定できる。※法則は不明。
だから俺のような「世渡り」がどの数列でどの異世界に行くか試してるってわけだ。9割は宇宙空間。1割は惑星。地球外生物との遭遇は2例のみ。世渡りが帰って来なかった設定はおそらく何かがまずかったということになる。
つまり今回がそれだよ!この世界は俺を殺す気だ。くそったれ。
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