2022/11/25 ノラネコを見かけて

ノラネコを見かけた。子どもたちは「こっちおいで〜」なんて言っているが、こっちに来たらどうするつもりなのだろう。私はエサをあげるわけでもないし、保健所に連絡をするわけでもない、ズルい大人だ。子どもたちはノラネコを見たら、なんとかしようとする。飼おうとするか、それができなければエサをやろうとする。保健所に連絡をするという選択肢はない。

 「ノラネコってどのくらいいるの?」と子どもに聞かれ、分からなかったので調べる。

2020年の環境省のデータだが、保健所に引き取られた犬猫は、犬が27,635匹、猫が44,798匹、合計で72,433匹だそうだ。データを見て驚いたのが、このうち飼い主が保健所に持ち込んだものが13,180匹いるということ。そして72,433匹のうち、殺処分となった犬猫が23,764匹だそうである。数が多すぎてうまく想像できない。子どもの質問にあったノラネコは保健所に引き取られたネコではなく、町の中で自由に暮らしているネコたちだろうと思うが、そんなものの統計資料はたぶんないだろう。

 子どもたちの好きな絵本に、「ノラネコぐんだん」シリーズ(作:工藤ノリコ)がある。「ノラネコぐんだんが食べ物を盗むのは飼われていないからだね」という子どもの指摘に、はっとする。そうかワンワンちゃんの店に勝手に入って食べ物を食べるのは、ノラネコだからだよなぁと改めて納得すると同時に、店を修築するという仕事をしても報酬はもらえず、またノラネコに戻るんだなぁと感慨にふける。

 見かけたネコはのんびりと道のわきに寝そべっていた。病気もなく、食事も足りているようなので、だれか近所の人がエサをやっているのだろう。ノラネコを飼うわけでもなく無責任に餌付けするのは、社会的に迷惑行為とされる。でも、見て見ぬふりを決め込む私より、エサだけでもやってネコの命をつなぐ誰かの方が、「良い人」のような気がした。

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