お絵かきAI

 自動でイラストを生成する画像生成AIが発表されている。
 なんだかSFが現実化したみたいで少しわくわくするが、例えば絵を書くことをお仕事にしている人はどうかなどと考えるとゾッとする。
機械が発達してきて、人がおこなってきた作業を代替する存在が出てきたときに人間がどう感じるのかという質問に対する回答をいま人間が出している真っ最中のような気がする。

 そもそも人の仕事を代替するモノはこれまで無数に開発されてきた。洗濯機があるおかげで、個人レベルで服を洗うお仕事は消滅した。本のようなアナログに思えるものでも、文字を読める人に自分の言いたいことを時を超えて代弁するという仕事を代替してくれる。そもそも人がモノを作る目的が人の役割を代替することであるという側面があると思う。

 それではこの画像生成AIはなぜこんなにも気になるのだろう。私個人の考えでは、SF作品などを読んで観て培われた「機械は絵を描くような創造的なことだけはできない」というような先入観があると思う。今回のAIはなんとなくそれを裏切るような存在であるから気になるのだと思う。画像生成AIの仕組みはインターネットに流れているたくさんの画像からキーワードに近いもののmixを生成するのだそうだが、それはヒトが絵を描く時も同じではないだろうか。ヒトが絵を書くときも、今まで見たものや聞いたことのmixが表出しているように思える。今まであったリソースを組み合わせて新しいものを作るという点ではヒトもAIもやっていることは変わらない気がする。その上で速度や物量でヒトを圧倒するという点は洗濯機や車などの他の発明品と変わらない。そのため画像生成AIのしていることは既存の機械と何ら変わりないのではないかと思える。

 画像生成AIが実現した現在が過去とどう異なるか不安。ということが今回の違和感の正体のように思える。

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