ギリシャの焼き肉に学ぶ。
「焼き肉」といえば、もうそれだけで食欲をそそるパワーワード。いつ食べてもおいしいけれど、特に夏場はいっそうおいしく感じられるような気がします。
さしあたり日本の焼き肉はといえば、焼いたお肉を例の食欲そそるたれにつけてご飯にのせる。そしてそのたれごと一緒にいただく、というのが醍醐味でしょうか。「焼き肉」の定義を広くとらえれば、焼き鳥なども含まれるのだろうし、たれに漬け込んでから焼くというスタイルももちろん有り。
とにかく人類の歴史のなかで、焼いた肉をどう食べるかというのは本当にさまざまなやり方があって、もうそれだけで何冊も本が書けそうに思えるほど。
そんな中で、今回ご紹介するギリシャの「焼き肉」も、とてもおいしくて簡単なアレンジです。
・ ハーブとレモンの串焼き肉 「スブラキ」
「スブラキ(souvlaki)」は、本来「串焼き」全般を指すため、正確には肉でも魚介でも野菜でもなんでもいいということになります。でもお肉で作る場合には、脂肪の少ない部位を使うのがおすすめ。写真は豚肉のスブラキですが、もも肉あたりで作るととても美味しくできます。
肉に下味をつけてから串に刺し、焼き上げるだけのシンプルなレシピ。塩とオレガノ、にんにくをしっかりと効かせ、最後はレモンをきゅっと搾って。そのシンプル且つさわやかな味わいが最大のポイントで、なんだかしみじみと、噛みしめるほどに美味しい。
さっぱりとしていながら肉の旨味もしっかりと感じられて、暑い夏場にはもってこいです。
肉が香ばしく焼けたところを皿に盛り付けてオレガノを振り、レモンを搾ります。
塩とレモンでキリリとした味わいながら、ジューシーで、噛むほどに旨味があふれるお肉がとても美味しいです。オレガノのさわやかな香りがこれまた最高によく合う。シンプルながらも、素材の味が引き立つ「焼き肉」料理です。
・ スパイシーで野菜もモリモリ 「ギロス」
そしてこちらは、スパイスを効かせた食べごたえのある「ギロス(Gyros)」。
ギリシャの定番ファストフードである「ギロピタ(ピタ・ギロス)」は、このお肉とたっぷりの野菜をピタパンにはさんだもの。写真のように皿に盛り付けて食べてもおいしくて、フライドポテトなどを添えると絶品。
本来はトルコのドネル・ケバブのように、肉を重ねて塊にしたものを回転させながら炙り焼きにして、それを削ぎ切るようにしていただきます。今回のように、手軽な豚の薄切り肉や小間切れ肉に味をつけて焼き上げてもとてもおいしくて、スパイス効果で簡単にギリシャのギロスの雰囲気が味わえます。
ちなみにスパイスは、いくつか組み合わせて使う方が味に深みが出るのでおすすめ。ガーリック、玉ねぎ、ブラックペッパー、オレガノ、カイエンペッパーあたりがあればバッチリですが、なければチリパウダー(赤唐辛子、クミン、オレガノ、ガーリックなど、数種類の香辛料を混ぜ合わせたミックススパイス)を使うのも手軽。見た目も色鮮やかに、それっぽくなって美味しいです。
炙り焼きのような香ばしさはないけれど、スパイスの香りが食欲をそそり、とても食べごたえのあるひと皿に。パンにも、そしてご飯にも合いそうな食べやすい味付けが日本人にも好まれると思います。
▼こちらは、チリパウダーを使って鶏むね肉で作ったギロス。
▼スブラキもギロスも、この定番きゅうりのヨーグルトソース(ザジキ)を添えるともっと美味しい。
▼美味しい料理が盛りだくさん、ギリシャ料理についてのコラム。
ハーブやスパイスのちょこっと使いで味に変化を
お肉をシンプルに焼いたり炒めたりして、塩・こしょうで味付け。あるいは、定番の焼き肉のたれでいただく。それでももちろん十分においしい「焼き肉」ですが、時にはこんな風にハーブやスパイスで味に変化をつけて楽しむのもいいものです。
たとえば今回のスブラキやギロスのように、国や地域ごとに、料理によく使われる定番のハーブやスパイスというのがあるので、それをちょこっと加えるだけでも海外の料理の雰囲気が手軽に楽しめます。
皆が大好きで、調理法がとてもシンプルな「焼き肉」は、それを試すのにまさにうってつけ。ぜひこれからもさまざまなバリエーションの「焼き肉」を楽しんでみたいと思います。
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