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【言葉がわからなくてもハートがあればなんとかなる。】3/17 新宿ゴールデン街散歩日記。

BGMにどうぞ。


お前らともう口きかないからな!

なんという寂しい遠吠えか。久しぶりに自分の寝言で起きた。自分の中にまだそんなルサンチマンがあることや器の小ささに吐き気がする。夢の中でなにがあったか知らないが、最後の叫んだシーンで僕はスカートを履いてたことだけ覚えてる。



スラム(読書サークル)で推奨されてる暗がりチャレンジでゴールデン街に行ってみた。

発端はスラム内のカラオケ愛好会にて「カラオケボックスより僕たちが行きたいのカラオケスナックじゃね?」と言ってみたら「面白そう!」といくつかスタンプが付いたので。

やってみたら来てくれたのは女のコ2人。気付いたら女子大生2人連れてゴールデン街を徘徊する謎のジジイになってウケた。

事前にゴールデン街に関する記事をいくつか眺めたら「少人数で梯子しろ」って書いてあったし実際その通りだったので丁度よい。

2人はゴールデン街初めて。僕個人は20年ぶり2回目だが、悪酔いしてやらかした記憶しかなく歩いていても覚えのない街だった。

いざ行ってみたら、

分かりやすい「カラオケスナック」は無く、唯一みつけたカラオケバーにまず入る。

マスターが1人と常連さんが2人。「3人入れますか〜(ゴールデン街の店は狭い)」と尋ねると「どうぞいらっしゃ〜い」と3人分の席を空けてくれた。

これはどの店にも言えることなのだが、店主さんも常連さんもみんな、一見の僕たちを優しく迎え入れてくれるし話が弾む。

色んな人がいて、誰もが誰の存在も否定しない。そんな雰囲気があった。「色んな人と交流できる、ここはいい街だと思うんすよね」マスターもそんなようなことを言ってた。

常連さんたちの話も面白いし、マスターもお喋り上手で笑わせてもらった。僕たちの歌にも皆でウェ~イしてくれるし、マスターに1曲歌ってもらったら「これがカラオケマスターか!」と思わされる、周りを巻き込んで盛り上げる歌い方に楽しませてもらった。

てな感じで、その後(カラオケはなかったが)梯子した4店のレビュー的なnoteを書こうと思ってたのだが、何日か経った今、どうやらそれが本題ではないのでレビューは画像でざっくりと。

梯子3軒目、ロックカフェにて。

ドアにはおっきく「RAMONES」の文字。中から烈しいロックが聴こえる。僕は最近ギターを買って歌ってみたりしてることを知ってか「ここ入ってみましょうか」と女子大生。

でも僕はにわかなのでラモーンズは名前しか知らない。かかってる曲も聴いたことない。モヒカンの店主さんが「リクエストあれば」と渡してくれた、CDのジャケが載ったメニューを見ても分かるバンドはない。

それでもロックはなんとなく良いモノなので体を揺らしてみたりしながらジントニックを飲む。少し離れた席にスペイン人の夫婦らしき2人がいて、ずっとノリまくってエアギターやエアドラムをしながら楽しんでいる。

女子大生は陽気に英語を操り、スペイン人となにか話している。僕はロックも英語も分からないので、ただただ体を揺らしている。

何曲か知らない曲が過ぎ、妖しい陰鬱な前奏が始まったときやっと「あ、これは聴いたことあるゾ」となった。それでも「ニルヴァーナだ!」と分かるわけではない、にわか。

名曲に店内も盛り上がり、スペイン人も周りの日本人も一緒に合唱している。僕も楽しくなってきて、スペイン人を真似てエアギターなどしてみる。

するとそれを見て陽気にスペイン人が話しかけてくる。「ぺらぺーら、ぺらぺらぺら?」

「え、え?な、なに…?」

困り顔で女子大生に助けを求めたときに言われた言葉がずっと刺さっている。

「(困ってんなよ) ハートだよ!」

そうか、そうなんだよな。僕は耳が悪くて、日本人相手でもこれと似たようなリアクションなることが多いのだけろ、ハートだよな。

「分からない」や「知らない」に弱すぎる。萎縮してしまう。開き直って、リスペクトして、ハートで触れ合うことを覚えなきゃな。

曲を知らなくたってノることは出来る。周りに知ってる人がいるなら尋ねることだって出来る。言葉が分からなくたって「ハハ!なに言ってっか分かんねーけど楽しいよね!」つっときゃ良かった場面だったよな。

ハート、ここにあらず。

僕は海外に行きたいって気持ちが分からない。

もともと暗がりチャレンジが苦手(いつも同じ店行きがち)っていうのもあるし、海外だなんて、言葉も分からんし不潔だし危険も分からん場所になんで好んでいくの?暗がりジャンキーなの?って思ってる。

でも帰り際、スペイン人に手を振って「バイバ〜イ」したら彼らも陽気に手を振ってくれる。ハート、ココロの触れ合い。そういうのを感じると「良いモノだよな」ってなる。

「分からない」者同士が、ほんの少しでも「分かりあえた」瞬間。……ハートか。



AIが支配する近々未来で。

Twitterには自分の興味のある情報しか流れず、Spotifyには興味のある曲しか流れない。そうして我々にはフィルターがかけられ、分断されて行くのでは?という話を聞いて、僕は「そうかな?」と思った。

我々はおなじだよねに向かうのか
我々はバラバラだよねに向かうのか

そんなことを考えてたら、冒頭のスカート履いて叫んでた夢の内容を、なぜか少し思いだした。なんか夢の中で若者に「昔のテレビって面白かったんすか?」と聞かれて僕は「面白かったってよりは『みんなが観てた』んだよね」って答えてた。

そこから何がどうなってスカート履いた姿で叫ぶことになったのかは知らんけどww

そう、みんなが観てた。

分からない者同士が分かりあえた。だから、オリンピックとワールドカップには踏ん張って欲しいお気持ち。それと、音楽にも。

もしもAIという文明の利器によって我々がバラバラに向かうのだとしたら、それは退化だ。先輩たちは歌った。We are The World.

かといって我々はおなじなのか?確かにおなじ部分もある。おなじ音楽にノることが出来る。でも人は皆、ちがう。「我々がバラバラ」を、こう言い換えたらどうだろう?

「バラバラな我々」

まさにゴールデン街がそうだった。どこの店でも「ゴールデン街、初めてなんすよね」なんて言うと、だいたい同じ問いが投げられた。「ここ何軒目ですか?」「どんな店でした?」

ゴールデン街は「バラバラな我々」だ。「色んな人がいて、誰もが誰の存在も否定しない」そんな街。

「想像の共同体」

スラム(読書サークル)の課題図書だった。僕は読んでいないけど「国?それってあなたの想像ですよね?」みたいな本っぽい。

人類は旅をして「ちがう」文化や言語を知り(あるいは「おなじ」を知り)民族性が生まれた。印刷の発明により広く情報共有でき、おなじ国語や文化・歴史をもった共同体がうまれたってのが、chat君の要約の端折り。

同様に、タイの少数民族ムラブリは隣の部族をモンスターと恐れたが、越境によって「おなじ」に気付く。

人類はそうしてきた。新大陸をみつけるたびに。

これは「国」だけじゃなく、「界隈」にも言えることだろう。

それは想像でしかない。ロック好きも、特撮好きも猫好きも、みんな「おなじ」なんよ。

「ハートだよ!」と教えてくれた女子大生が言ってたゴールデン街の感想がめっちゃよいパンチラインだったのでさいごに紹介。

「ゴールデン街は人間に恋できる街」

俺たちはここにいる 楽しませてくれ
ムラート アルビノ モスキート リビドー

Smells Like Teen Spirit/NIRVANA

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