潮汐と温度
照らす日差し
影はまだ短く揺れる
波打ち際 返す波
なにかを失くした
ぼんやりとした日常
短く暮れる
波打ち際 寄せる波
気づかず過ごした
あれから何年経った
またあの匂いだ
思い出す度
願うこと
遡ってゆこう
君の体温を超えた日へ
陽炎も茹だる 陽光が照らす
乱反射した水面の裏
さあ 可能性の向こう
君の体温を超えた日へ
陽炎のような思い出すら
水面の裏に隠したままで暮らす
針のない時計の影
長く揺れる
落ち切った砂 返す度
戻らないと知った
止まる音
海鳴りが響く
波打ち際 喧騒と凪
足音は確か
二人分の跡
並んで歩こうよ
一人分の差を
埋めたこと
彷徨う夢の後
君と太陽を超えた日へ
陽炎の裏 西陽の向こう
目が眩んだまま歩くこと
また思い出すよ
意味のないようなことでさえ
いつのまにか思い出になる
忘れることは幸せだと知った
潮が満ちてまた引いていく
浜の砂は少し痛かった
日が落ちる速度で
低くなってく体温
足跡ふたつ 足音はひとつ
波音が消す 忘れてた記憶
君のその引力で
夜よ 明けてくれと願って
忘れたことはいつか
思い出すこと
記憶を辿って
君に会いに行く
遡ってゆこう
君の体温を超えた日へ
陽炎も茹だる 陽光が照らす
反射した明け方の空
さあ 可能性の向こう
君と太陽を超えた日へ
忘れないよ 二人だけの夏
ただ晴れ 翳る
君だけを置いていく
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